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» 2019年03月11日 07時00分 公開

“中の人”が明かすパソコン裏話:高級路線のノートPC、アルミが使われるのはなぜ? (1/2)

メーカーの中の人だからこそ知っている“PCづくりの裏話”を明かすこの連載。今回はノートPCの本体に使われる素材についてお話します。

[白木智幸,ITmedia]

 こんにちは。白木智幸です。今回はノートPCの本体に使われる素材について解説したいと思います。皆さんは自分が使っているノートPCがどんな素材で作られているかを知っているでしょうか。バッチリ把握している方はかなりレアだと思いますが、ノートPCは軽量化と薄型化のためにさまざまな工夫が施されています。

 その中でも高級路線のプレミアムPCを中心によく採用されているのがアルミニウム(以下、アルミ)です。その理由は「バランスが良いから」です。それはどういうことでしょうか。

プレミアムPCでアルミ素材が採用される理由

 アルミを採用するメリットとしてまず挙げられるのは「軽量さ」です。飲料のスチール缶とアルミ缶を比較すると、アルミ缶が軽いことは実感できると思います。アルミは軽量で安定した金属として、幅広い用途があります。

 自動車の世界でもコンマ数秒の世界を争うスポーツカーや、バッテリーを大量に搭載する必要があるEV(電気自動車)の軽量化でもアルミが活用されています。

photo 量産車として世界初のオールアルミ・モノコックボディーを採用したホンダNSX

 次に挙げられるのが「加工のしやすさ」です。1枚のアルミ板から精密に削り出してノートPCのシャシーを作り出す手法によって、薄くて頑丈な製品を作る事ができるようになりました。

photo 米AppleのMacBook Pro Aluminum Unibody Designビデオより

 加工のしやすさはそのまま製品の製造コストにも反映されます。アルミはリーズナブルに薄型の製品作りに適しています。そして、金属の質感を生かした高級感のあるデザインを成形できます。アルミ缶がリサイクルできることからイメージできるように、リサイクル性にも優れています。

 では、軽量金属の優等生「マグネシウム合金」はどうでしょう。

 マグネシウム合金はアルミより3割ほど軽く頑丈です。PCやスマートフォン、カメラのボディーなどに採用されています。リサイクル性も高く、環境にも優しいことで知られています。

 ここまで聞くと「ノートPCは全てマグネシウム合金で作れば良いのでは?」と思われる方も多いと思います。しかし、マグネシウム合金はコスト高く、多用すれば商品自体の価格が高くなってしまうというデメリットがあります。

 次に、F1マシンやスーパーカーにも使われることで知られる、超エリート素材の“カーボン”こと「炭素繊維強化プラスチック」(CFRP)はどうでしょうか。

 その用途から連想されるように、トップクラスの軽量さと頑丈さを兼ね備えています。カーボンには独特の折り目がありますが、その折り目がモータースポーツをほうふつさせるデザインアイコンになっていることから、あえてこの柄をデザインとして使うことが多々あります。クルマ好きであれば、このカーボン柄に心踊るという方も多いのではないでしょうか。

 ノートPCでもカーボンを素材に採用したモデルが登場しています。しかし、カーボンは一般的に高価で加工が難しい点や、リサイクル性の低さが課題です。

 では、そんなバランスのいいアルミに弱点は無いのでしょうか?

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