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本人情報の真偽判断にブロックチェーン活用 富士通研、「分散型ID」の信頼性向上させる新技術

» 2019年07月05日 12時13分 公開
[ITmedia]

 富士通研究所は7月4日、オンライン取引の際、相手の本人情報の真偽を判断するためのアイデンティティ流通技術「IDYX」(IDentitY eXchange)を開発したと発表した。ブロックチェーンを使った「分散型ID」のトランザクション上に、ユーザーによる相手の評価を記録した上で、過去の取引の実態を分析し、本人情報の信用度と詐称リスクを割り出す。ブロックチェーンを活用した富士通のクラウドサービスの新機能として、2019年度中の実装を目指す。

画像 「IDYX」による本人情報の流れ
画像 信用確認の画面イメージ

 シェアリングサービスなど企業や個人の信用を基にした新たなビジネスが生まれる中、サービス提供事業者やユーザーの経歴、資格などを正確に相手に伝えるニーズが高まっている。分散型IDは、第三者が保証した自身の本人情報を取引先に開示するためのブロックチェーン活用した仕組みだが、悪意のある第三者と結託することで、経歴や資格を詐称でき、見破ることが難しいなどのリスクがある。

 今回、開発したIDYXでは、取引によって発生するユーザーごとの評価を、ブロックチェーン上にトランザクションデータ(一連のデータ)として登録。改ざんできない分散台帳に評価を格納することで、信用情報の信頼性を向上させる。

 さらに、IDYXユーザー個々の信用トランザクションのデータをグラフ構造に変換し、ユーザー同士の関係性が分かるようにした。何人のユーザーから信用されているか、どれくらい信用度の高いユーザーから信用されているか、などで重みづけし、信用度スコアを付け。ユーザーが第三者との間で評価を上げていた場合も、他のユーザーとの関係性が希薄だということがグラフ構造から分かり、詐称の可能性を特定できるとしている。

 また、ユーザーは本人情報を一部開示するだけで、それらの真偽を証明して取引を行えるという。

 今後はIDYXを、金融をはじめ様々な分野に適用し、実証を進める。さらに、ブロックチェーン技術を活用したデータ活用のためのクラウドサービス「FUJITSU Intelligent Data Service Virtuora DX データ流通・利活用サービス」の新機能として、2019年度中の実装を目指す。

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