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窓の代わりにディスプレイ ソニーのクルマ、実用化へ ヤマハ発と共同開発

» 2019年08月21日 15時06分 公開
[ITmedia]

 ソニーは、イメージセンサーとディスプレイを搭載した窓のないクルマ「New Concept Cart SC-1」をヤマハ発動機と共同開発し、年内にサービスを開始すると発表した。ソニーが2017年に試作機を完成させたモデルを基に、乗車可能人数を3人から5人に拡張するといったブラッシュアップを行った。

 試作機と同様、カメラでとらえた360度の映像をディスプレイに映して周囲を把握でき、乗員は夜間でもヘッドライトなしに視認できる他、遠隔操作にも対応している。ゴルフ場やアミューズメント施設などへのサービス展開を想定しているが、車両としての一般販売を行う予定はない。

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 長さ約3メートル、幅約1.3メートルの四角いカートで、最高時速は19キロ。

 35ミリフルサイズの「Exmor CMOSセンサー」を車両周囲4方向と車内の計5台搭載した他、1/3.8型CMOSイメージセンサー「ISX019」内蔵カメラを2台搭載した。人が視認しながら運転する一般的な自動車と違い、360度全ての方向にフォーカスが合った映像で周囲の環境を把握できるという。

 窓の代わりにディスプレイを設置した。車内には49インチの4K液晶を1台、車外には55インチの4K液晶を4台備えている。ソニーが開発した融合現実感(Mixed Reality)技術も採用。乗員がディスプレイで見る周囲の映像にCGを重ねることで、「車窓がエンタテインメント空間に変貌し、移動自体をより楽しめるようになる」としている。

 車外のディスプレイを使い、車両の周囲にいる人に、広告や映像を映し出すことも可能。イメージセンサーがとらえた映像を人工知能で解析し、車両周囲にいる人の性別・年齢などに応じて最適な広告や情報を表示することもできる。

 超音波センサーと2次元ライダー(LIDAR:レーザー画像検出と測距)も搭載。ネットワークで接続したクラウドに蓄積した走行情報をディープラーニングで解析することで、運行をアシストするとともに、車両に備えた複数のセンサーからの情報をエッジコンピューティングで判断し、安全な走行をサポートするという。

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