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AIブームが収束し、怪しいAIベンチャーが消えた年――2019年を“AI本音対談”で振り返るこれからのAIの話をしよう(2019年振り返り編)(2/4 ページ)

» 2019年12月20日 07時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]

不足しているのはエンジニアだけじゃない

松本:日本がAIの開発や活用で後れを取っていることについて、いまだに「日本の大企業がダメなのでは」といわれることが多いです。大企業側も反論があるでしょうが、実際に世の中を変えるような画期的な製品は出てきていません。今のAI活用は単なる効率化や自動化が多い印象ですが、みんなの期待していたディープラーニングってそういう話だったのかなと疑問に感じることはあります。

マスクド:大企業の中には、企画さえも自分たちで考えずに外部ベンダーが提案するのが当たり前なスタンスの会社もあります。「あなたたちの技術でウチのために何か作ってみてよ」と、AIベンチャーに言ってくるような企業もいるんです。

松本:技術と企画は別物ですよね。どれだけ素晴らしい技術も、企画がダメなら売り物にならない。日本企業の多くはAIを開発していますが、BATISやGAFAはサービスを開発して、手段としてAIを使っている。この差は大きいでしょう。

 人や組織に目を向けると、優秀なエンジニアを生かせる経営者や管理職が少な過ぎると思います。2020年代は、技術を持つベンチャー企業と大企業の間に入るコンサルタントのような橋渡し役も必要になるはずです。AIベンチャーでは、エンジニア出身の社長が営業も担当しているなんてことが普通にありますよね。

マスクド:あと「日本企業にはエンジニアが不足している」ともよくいわれていますが、ベンチャーで不足しているのは実は経理や法務だったりします。

松本:優れたベンチャー企業には、自然と優秀なエンジニアが集まりますよね。

マスクド:人気のある会社は、現場のエンジニアや管理職も勉強会やカンファレンスに参加して、草の根で活動しています。そこで自社の技術をアピールしたり、採用活動につなげている。そうした努力が実を結んでいます。

松本:AIやデータサイエンスに詳しい人材を高年収で採用する制度を打ち出す大企業も多くあります。

マスクド:大企業はまず新卒採用をどうにかしてほしいですね。今年も退職エントリを多く見ましたが、十分なスペックのPCが与えられず退職するケースがいまだにあるとは驚きました。大企業だと配属先ガチャや上司ルーレットのせいで運次第ですから。長州力じゃないですけど「何がしたいんだコラ」と言いたいです。

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