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AIブームが収束し、怪しいAIベンチャーが消えた年――2019年を“AI本音対談”で振り返るこれからのAIの話をしよう(2019年振り返り編)(3/4 ページ)

» 2019年12月20日 07時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]

移り変わるAI業界と学び続けることの重要性

マスクド:さすがに最近は「AIで何かやれ」と一方的に指示する経営者は減っていますね。

松本:そうなんですね。マスクドさんはAI企業の方とよく会われていますが、業界の温度感はどうなんでしょうか。

マスクド:停滞する需要に対して、供給過多に陥っている面があります。

松本:先ほども言いましたが、単なる効率化や自動化のニュースが多いので、「何だ、AIって大したことないじゃん」という雰囲気ができているのも一因かなと思います。

マスクド:もちろんそういう側面もありますが、AIはそれだけじゃないですよね。AIを真面目に学ぼうとする経営者が少ないという問題はあります。

松本:例えば、AIは人間と比べて読解力が低いといわれていましたが、NTTが開発したAIが、2019年センター試験の英語筆記本試験で185点(200点満点、偏差値64.1)を獲得しています。米Googleが開発した自然言語処理モデル「BERT」もありますし、この分野はまだまだ面白くなりそうですね。

 画像の分野では、ディープフェイクというフェイク動画の技術が進んでいます。GAN(敵対的生成ネットワーク)という手法を用いて、存在しない人間の顔をすぐに自動生成できてしまう。このGANを使ったサービスなどに注目が集まりました。このようにAI技術は日々アップデートされていて、全てを網羅するのは難しい。でも、AI業界で活躍するには勉強し続けるしかないんですよね。

マスクド:怪しいAIベンチャーが淘汰(とうた)されるのは、上辺だけで中身を理解できていないからかもしれませんね。

松本:だからこそ新規参入が難しい業界ともいえます。ところで、日本にいるデータサイエンティストや機械学習のエンジニアの人数ってどれくらいなんでしょう・・・・・・。その中でTwitterやブログなどで積極的に情報発信をしている人となると、さらに限られます。もっと業界内外で影響を及ぼすことができるインフルエンサーが必要だと思っているのですが。マスクドさんもそういう立ち位置ですよね。

マスクド:この前、事業会社がメインのAI勉強会に参加したのですが、私の知名度はまだまだだなと感じました。今はTwitterなどで積極的に情報を収集する人に知ってもらえているなという印象です。

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