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見る角度で色が変わるカメレオン・チョコ スイス連邦工科大学などが開発Innovative Tech

» 2020年01月23日 08時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)と同じくスイスの工科大学であるFHNWによる研究チームが発表した技術は、合成着色料を添加せずにチョコレートの表面を虹色に変化させる手法だ。見る角度によってさまざな色彩に変化する。

photo 鮮やか色に変化する本手法で生成したチョコレート

 これはチョコレートの表面に構造色を刻印する手法で実現した。構造色とは、シャボン玉やコンパクトディスクのように、自身には色が付いていないが見る角度に応じてさまざまな色彩に変化する発色現象を指す。表面の凹凸により散乱される波長が変化するため色が変わる。

 この現象は、カメレオンが体を変色させる特性に似ている。カメレオンは、皮膚に含まれるナノ結晶の間隔(凸凹の間隔)を調整することで光の反射を変化させ体色を変える。

 このカメレオンの変色特性に似た構造色を用いることで、人体に有害な可能性がある添加物を使用することなく、鮮やかな色のチョコレートを生成する。

photo 虹色に輝くチョコレート

 研究チームは、本手法の特許を出願すると同時に、一度に複数のチョコレートに構造色を刻印できる金型を開発し、スピンオフ会社を設立する予定としている。

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