ハロー、自作キーボードワールド 第4回
「青軸」「茶軸」だけじゃない 自作キーボードで多様な進化を遂げた「互換キースイッチ」たちとその先にある改造の“沼”(1/3 ページ)
いろいろなパーツを組み合わせて自分好みの1台を作る「自作キーボード」について紹介する本連載。打鍵感の要となる「キースイッチ」の入力方式やその一つである「メカニカル方式」の概要をお伝えした前回に続き、今回はそんなキースイッチが自作キーボードの世界で多様な進化を遂げていることをお伝えしたい。
ぺかそ(@Pekaso)
自作キーボード「Fortitude60」作者。自作キーボードの基本から設計方法までまとめた同人誌「BUILD YOUR OWN KEYBOARDs」を執筆。
連載:「ハロー、自作キーボードワールド」
自作キーボードの作者であり、キーボード関連のニュース動画「ほぼ週刊キーボードニュース」を配信するぺかそとびあっこが、自作キーボードの世界の“入り口”を紹介していく。
多様な進化を遂げた互換キースイッチたち
2010年代後半ごろから、「メカニカルキーボード」として販売されているキーボードを多く見かけるようになった。いわゆる「ゲーミングPC」と呼ばれるジャンルの人気が高まったことも背景の一つだが、加えて独Cherryが持つ、メカニカル方式のキースイッチ「Cherry MX」の構造に関わる特許が切れたことも大きい。これにより、Cherry MXの特性をコピーしたようなキースイッチや、互換性がありながらも新しい特性を取り入れた新しいキースイッチが、主に大陸系のメーカーから多く登場した。
この記事を書いている段階でも新しいスイッチが誕生しているため、本記事で全てをカバーすることはできないが、比較的入手性が高く、特徴的なものについていくつか紹介したい。
オリジナルに近い互換キースイッチ
以下に示すのはオリジナルのCherry MXに近い特性を持ったキースイッチたちだ。オリジナルより安価に販売されることもあり、安価なゲーミングキーボードなどに採用されることも多い。
Gateronシリーズ
中国Gateronが製造する互換キースイッチ。ラインアップもオリジナルのCherry MXをまねたものが多い(Cherry MX Brown→Gateron Brownなど)。細かいクオリティなどの差分を除けば特性はほぼオリジナルと同じかつ安価なため、コストを重視するならおすすめできる。
Kailh BOXシリーズ
中国Kaihua ElectronicsのKailh BOXシリーズは軸の周りが四角い形状で、見た目や打鍵音に独自性を持たせている。シリーズ標準の「Kailh BOX Red/Brown/Black」はそれぞれCherry MXの各色と対応した特性だが、クリッキータイプである「Kailh BOX White」は音を出すための独自の「クリックバー機構」を持っており、他とは異なるクリック音を出すのが特徴だ。内部構造もIP56の防水防じん性能を持つ。
ちょっと特殊なキースイッチ
上で紹介した互換キースイッチはCherry MXの軸の色とほぼ対応しているが、これから紹介するものはCherry MXの互換品からは外れた特性を持つ、独自性の高いキースイッチだ。
少し前までは、「赤軸」「茶軸」などと軸の色でメカニカルのキースイッチの分類を十分にできたが、2020年現在は独自性の高いキースイッチが多くあるため、色だけで分類するのはほぼ不可能だ。
Kailh Speedシリーズ
主にゲーミングのシーンで、より高速に反応するキースイッチがほしいという人がいるかもしれない。Kailh Speedシリーズはそういった用途に最適だ。ここでいう「高速」というのは、キーを押し下げ始めてから接点が電気的に導通する(反応する)までの距離が短く、比較的浅い位置で反応する。
先ほどは紹介しなかったが、Cherry MXにも「Speed Silver」(銀軸)という名前のスイッチがあり、通常のスイッチの動作点である1.5mmに対して1.2mmと浅くなっている。
Kailh Speedシリーズは動作点が1.1mmとさらに浅く、特性や荷重別に「Kailh Speed Silver/Copper/Gold/Rose Pink」など金属の色の名前を持つキースイッチが販売されている。
Kailh Proシリーズ
このシリーズはキーのストローク(キーを完全に押し下げるまでの距離)が、Cherry MXの4mmに対して3.6mmと浅いことが特徴だ。また、これは個人の感想に近い部分でもあるが、Gateronシリーズと比べるとキーの動きが滑らかに感じられる。
ラインアップには軸の色が濃い「Kailh Pro Burgundy(リニア)/Purple (タクタイル)/Light Green(クリッキー)」がある。
高級(打鍵感重視・コミュニティー発のカスタム系)
ここから紹介するのは、「互換品」と呼ぶには向かない、かなり特殊なキースイッチたちだ。企業が企画した製品もあれば、キーボードコミュニティーの中で生まれた打鍵感重視のキースイッチもある。このクラスになると、キーボードの最高峰といわれる静電容量無接点方式を超えたと主張するユーザーもいる。
前半の記事を読んで「静電容量無接点方式で自作がしたいのだけどなあ」と思って二の足を踏む読者にも一度は触っていただきたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ハロー、自作キーボードワールド
自作キーボードの作者であり、キーボード関連のニュース動画「ほぼ週刊キーボードニュース」を配信するぺかそとびあっこが、自作キーボードの世界の“入り口”を紹介していく。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
資さんうどん、従業員の退職理由などが外部から閲覧可能に 委託先の勤怠システムに設定不備
-
2
VTuber「兎田ぺこら」グッズにSNSで風評被害→示談成立 「保護者同伴で謝罪などがあったため」
-
3
auメールで朝から障害 全国で利用しづらい状況に
-
4
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
5
GMO不正アクセスの犯人サイト、ドメイン停止を確認
-
6
Anthropic、独自の“創薬活動”に着手 社員1人のバイオ企業を買収、小児難病の治療薬研究を進める
-
7
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
8
メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に 7000人以上で実験
-
9
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
10
「対策を後回しにしたサーバが軒並み狙われている」 相次ぐ不正アクセスにラックCTOが警鐘
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR