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デジタル絵画に自然な照明効果を後から合成 台湾・東呉大と早稲田大が開発Innovative Tech

» 2020年05月01日 19時25分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 台湾・東呉大学と早稲田大学による研究チームが開発した「Generating Digital Painting Lighting Effects via RGB-space Geometry」は、1枚の画像からデジタル絵画の照明効果を生成するアルゴリズムだ。

photo (左)元画像(中央)本アルゴリズムの出力結果(右)アーティストによる手描きで作成した照明効果

 アーティストが手描きする時、筆のストローク(=線)密度が高い箇所には陰影もより密集すると仮定してアルゴリズムを組んでいる。この仮定に基づき、線の描かれ方の情報からストローク密度を推定し、照明効果を生成する。

 具体的な手法は入力画像からカラーパレットを抽出し、密度の高いピクセルを推定しマップを作成。光源に合ったレタッチをするというものだ。

photo (左列)元画像とストローク履歴(中央列)ストローク密度(右列)本アルゴリズムの出力結果とアーティストの手書きによる照明効果

 これにより、元の画像構造に適合した自然な照明効果を挿入できる。また一方向だけでなく、光源をインタラクティブに変更し、多様な方向からのリライティングも可能だ。

photo 光源の位置を変え、さまざまな方向からの照明効果を出力した結果。左列が元画像、オレンジの丸が光源の位置

 本アルゴリズムは、既存のデジタルペイントツールのプラグインとして直接機能するため、映像制作で使われるマットペイントワークフローにも統合でき、実務の効率化を向上させる。

 また、デジタル絵画だけでなく、写真や3Dレンダリング画像など、ペイントされていない画像への適用も可能だ。

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