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» 2020年08月11日 07時00分 公開

被害額は1000万円超 前澤氏の現金配布企画に便乗した「ギブアウェイ詐欺」とは (2/2)

[Cheena,ITmedia]
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どれほどの被害が発生したか集計する

 さて、犯人はこの手口でいくら暗号通貨を盗んだのか集計してみたい。暗号通貨の中核技術であるブロックチェーンでは取引記録が公開されており、第三者でも閲覧できる。アドレスは犯人のサイトに掲載されていたので、ここから参照できる。だが、サイト上に表示されてからある程度の時間が経過すると犯人はアドレスを変更するようにしていたためか、犯人が使った全アドレスの記録はできなかった。

 筆者が把握した限りのアドレスが受け取った金額を合計すると、日本円にして1000万円を超える額になっていたことが分かった。実際のところ、これらのアドレスは前澤氏だけでなく米Teslaのイーロン・マスク氏を装った他のギブアウェイ詐欺にも関与しているためこの全てが前澤氏に乗じた詐欺の被害額とはいえないが、そのうち一つのアドレスには、日本の大手暗号資産取引所のものと思われるアドレスから400万円を超える金額の受け取りがあったことも見つかった。

詐欺師の管理するアドレスへの高額送金

 筆者がこれらに関連するドメインについて、当該ドメインレジストラのカナダNameSiloとホスティングサービスの米Netlifyに不正利用の報告を行ったところ、同日までにドメインやサーバが停止した。

Twitter上のギブアウェイ詐欺にどう立ち向かうべきか

 冒頭に書いたように、前澤氏に成り済ましたギブアウェイ詐欺は19年にも起きており、その際はTwitterに詐欺サイトへ誘導する広告ツイートが出稿されていた。

 利用者一人一人がこのような詐欺を見抜けることが一番ではあるが、特に今回は比較的巧妙な手口で難しい面もあった。ツイートを信頼していいかどうかの判断材料の一つとなる認証済みマークを詐欺師が掌握しているかもしれない、とすぐに疑える人は多くはないだろう。Twitter IDまで注意深く観察していれば気付けるものではあったが、認証済みマークを見て信用してしまい、そこまで注意が回らなくなってしまうのも人間の心理だ。

 エンドユーザーがだまされてしまったとしても、取引所など暗号通貨関連のサービス側が対策することで水際で詐欺を阻止することもできる。普段から詐欺に関連するアドレスを収集し、そのアドレスに対する送受金をブロックすることだ。7月のTwitterハッキング事件では、米取引所のCoinbaseが詐欺ツイートにすぐに気づき、アドレスへの送金をブロックすることで約3000万円分の送金を防いでいたという。

 前澤氏が本当に現金プレゼント企画を行っている手前、「世の中においしい話はないのだ」と言い切るのは少しはばかられるが、やはりおいしい話は最大限警戒するべきだ。今回のような詐欺の手口もあることを理解すれば、自分の身を守る一つのヒントになるのではないだろうか。

著者:Cheena

仮想通貨取引所「Coincheck」からの大量の仮想通貨流出事件や、「漫画村」など海賊版漫画サイトの追跡でいち早く新情報を探し当てたホワイトハッカー。ダークウェブやネット上での匿名化技術に精通し、「ダークウェブの教科書 匿名化ツールの実践」(データハウス)を執筆した。


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