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見た目は普通のボーダーシャツ? MIT、着用者の体温や心拍数などを計測するシャツを開発Innovative Tech

» 2020年08月13日 10時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが開発した「E-TeCS(Electronic Textile Conformable Suite)」は、衣類の内側にセンサーを編み込み、温度や呼吸、心拍数などのバイタルサインを計測できるシャツだ。

photo E-TeCSのプロトタイプ

 センサーは、柔軟性が高く細長いテープのような形状で、表地と裏地の間を通すように編み込む。一部分だけに編み込むのではなく、ボーダーシャツの柄のように上半身を取り巻く。

photo 細長くテープのようなセンサーは、生地の間を通すように編み込まれる

 シャツの内側には、設置されたセンサーに沿ってところどころに開口部があり、着用時にはその部分のセンサーだけが皮膚に直接触れる仕様だ。皮膚に直接貼り付けるシールタイプの類似センサーに比べ、装着時の違和感を覚えにくいとしている。

photo 生地の裏側は、ところどころセンサーが露出する

 上半身を取り巻くセンサーは、着用者の体温や動き、心拍数、呼吸数を測定する。スナップボタンで簡単に着脱できる小型の通信モジュールをシャツの裾に装着し、ワイヤレス通信でデータをスマートフォンに伝送する。

photo スナップボタンで通信モジュールを着脱できる

 プロトタイプでは、30個の温度センサーや加速度センサーを実装した。運動中に着用するコンプレッションシャツ(体に軽い圧力をかける運動用シャツ)のような機能性が高い素材を使用。外観からはセンサーは見えず、通常のシャツと見分けが付かないくらい自然に編み込まれる。センサーを付けたまま洗濯でき、センサーを取り外して別の衣類に編み込んで再利用することも可能だ。

photo 上半身のさまざまな箇所にセンサーが配置され、着用者の温度、動き、心拍数、呼吸数を測定し、タブレットにワイヤレス通信する

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