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最適なタイミングでボールを放してくれるデバイス 東大が開発Innovative Tech

» 2020年08月20日 09時19分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 東京大学の研究チームが開発した「Dynamic Motor Skill Synthesis with Human-Machine Mutual Actuation」は、人間が投げる動作に応じて、最適なタイミングでボールをリリースするデバイスだ。

photo (a)システムのフレームワーク (b)リリースコントローラーとして機能するハンドヘルドデバイス (c)デバイスは、ユーザーの動きに応じて計算されたプロセスで制御される

 このシステムは発射物を保持し解放するハンドヘルドデバイスと、デバイスから放つタイミングを制御するアーキテクチャで構成される。

 ユーザーが投げている途中で発射物の軌道をリアルタイム予測し、その予測結果が希望する軌道と一致したタイミングで放出する。軌道が一致しない場合はそのまま保持し続ける。

 このようにして、ユーザーは目標に向かって投げ、それを命中させることができる。

 ハードウェアは、慣性計測装置(IMU)とモーター、発射物を保持するためのグリッパー、そして追跡用マーカーで構成。周囲には複数台の光学式モーションキャプチャーカメラを配置し、デバイスの動きをリアルタイムに追跡する。

photo ハンドヘルドデバイスの外観

 被験者が間違えて目標より遠いところに投げようとしたら、その動きは抑制された。このように、人為的エラーを修正できる可能性も提示している。

photo 9つの数字パネルの目標領域に投げている様子

 研究チームはロボットが人体の動作と同期して作動するアプローチを「Human-Machine Mutual Actuation 」(HMMA)と呼んでおり、今後は別の角度から検証していきたいという。

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