この頃、セキュリティ界隈で
ランサムウェアが見せつけたWindowsの脆弱性「Zerologon」の威力(1/2 ページ)
Windowsのドメインコントローラが乗っ取られる極めて深刻な脆弱性「Zerologon」について、Microsoftやセキュリティ企業が繰り返し警戒を呼び掛けている。ランサムウェア「Ryuk」の攻撃に利用されて瞬く間に組織内で感染が広がった実例も紹介され、改めて危険性が浮き彫りになった。
Zerologonの脆弱性は、WindowsでActive Directoryのユーザー認証に使われる「Netlogonリモートプロトコル」(MS-NRPC)に存在する(CVE-2020-1472)。悪用された場合、認証を受けていない攻撃者がドメインコントローラにアクセスし、ドメイン管理者権限を取得できてしまう可能性がある。Microsoftは8月の月例セキュリティ更新プログラムでこの問題に対処した。
Microsoftによれば、9月にはこの脆弱性を突くコンセプト実証コードが公開され、9月13日ごろから攻撃が急増。10月に入ると国家が関与する攻撃にZeroLogonが利用され、ソフトウェアアップデートに見せかけて不正なスクリプトを実行させる手口が発見されるなど、攻撃はエスカレートしていった。
Ryukのランサムウェアを操る集団がZerologonを利用したケースは、10月18日のDFIR Reportで報告された。発端となるフィッシング詐欺メールが送り付けられてから、被害者のネットワーク全体が暗号化されるまでの時間はわずか5時間。攻撃者がZerologonの脆弱性を突いて特権を獲得したことで、攻撃を展開するスピードは急加速していた。
Ryukは世界各地で企業や自治体などの被害が多発しており、猛威を振るうマルウェア「Emotet」を通じて感染することもある。米国や英国で多数の病院を経営する医療大手のシステムに感染し、患者が死亡する事態にもつながったと報じられている。
今回DFIR Reportが報告したケースでは、攻撃者はフィッシング詐欺メールを使って被害組織のユーザーに実行可能ファイルを実行させ、マルウェア「Bazar」に感染させていた。最初に感染したのは権限を持たないユーザーだったが、攻撃者はここでZerologonの脆弱性を利用して特権を獲得し、ドメインコントローラのパスワードをリセットした。
これで攻撃は一気に加速する。ネットワークを横移動してさらに別のドメインコントローラも乗っ取り、Active Directoryを制御した攻撃者は、サーバやワークステーションを次々にRyukに感染させて、最初の侵入から5時間で攻撃を完了した。
それまでは、こうした攻撃を検出してから対応するまでには1~2日の余裕があったという。しかしZerologonが利用されたことでそうした時間的余裕がなくなったとDFIR Reportは言い、「攻撃を食い止めるためには、1時間以内に行動できる準備が必要」と指摘する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この頃、セキュリティ界隈で
海外のセキュリティ関連ニュースを追い続けている鈴木聖子さんによる、最近のセキュリティニュースブリーフィング。隔週でお届けします。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
プールにはおしっこが何リットル混じっている? 人工甘味料を基に計測 カナダチームが2017年に調査
-
2
東京23区で「徒歩10分以内」に駅がない地域はどこ? 駅空白地帯マップが話題
-
3
新「マイナアプリ」登場、旧「マイナポータルアプリ」との違いは 一通り触ってみた
-
4
「まるでキャバクラ」――「ライザのアトリエ」主人公と話せるAIアプリに「課金圧強すぎ」の声 「10日に会話15回」で月額980円
-
5
新「マイナアプリ」きょうスタート 「デジタル認証アプリ」統合、水色→ピンクに
-
6
「うるう秒」27年に事実上廃止へ 自転とのずれ「1時間」まで容認 10月に国際会議で採決
-
7
「まるで奇行種」――とある人型ロボの爆走フォームが話題に 中国のロボット運動会400m走で優勝
-
8
ボカコレ炎上、MVに「3DS」使った曲“ランキング除外”で 「基準あいまい」とクリエイター反発
-
9
FANZA、成人向けAI創作・公開サービス「FANZAスタジオ」発表 先行体験は8月24日から
-
10
防衛装備庁、テラドローンと迎撃ドローンの量産契約を正式締結 国産機「Terra B1」を調達へ
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR