そこで、1人で歩いているのに手をつないで歩いているような錯覚を提供するハンド型デバイスを提案する。このデバイスは、スマートフォン、マイコン、圧力センサー、モーター、フィルムヒーターなどで構成される。手の骨格を柔らかいゲル素材で覆い、人肌に似せた触覚を再現している。
フィルムヒーターを用いて手のぬくもりも再現。デバイスを握ると、握る強さを圧力センサーが検知し握り返してくれる。
人間と手をつないで歩いた場合、必ずしも歩幅が合う訳ではなく、どちらかが速いと相手に引っ張られる。これを再現するため、前腕にモーター付きレールを固定し、引っ張られる感覚を実装する。これにより、前後に引っ張るような感覚と、手を振っているような感覚が得られる。
また手汗で緊張感を再現する。これは細かい穴を開けたゲル素材とフィルムヒーターの間に湿った布を挟み、布に染み込んだ水がフィルムヒーターで加熱されにじみ出すことで実装している。この布にはシャンプーの香りといった香料も染み込ませており、相手の匂いを再現している。
さらに、つないだ手の気配をより強くするため、人が歩くときに発する足音、服の擦れる音、呼吸音をユーザーが携帯するスマートフォンの加速度センサーとスピーカーを用い、速度に応じて再生する。
これらの技術を組み合わせることで、相手がいないにもかかわらず2人で手をつなぎ歩いているような疑似体験が得られる。コロナ禍においての密を避け、孤独感の緩和や運動不足の解消に役立つという。
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