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製品画像の異常検知「世界トップレベル」の精度 独自の深層学習手法を開発 東芝

» 2020年12月14日 15時40分 公開
[ITmedia]

 東芝は12月14日、製造現場で製品の外観画像を使って異常を検知する人工知能(AI)の開発で、「世界トップレベルの検知性能を達成した」と発表した。独自の深層学習の手法を用いることにより、正常データのみから高い精度で学習。公開データを使って検知精度を試したところ、従来技術の69.5%から79.1%と、約10ポイント向上したという。

 この技術により、従来目視で行っていた半導体ウエハーの品質検査などの自動化期待できるという。性能実証を行った上で、2021年度、東芝デバイス&ストレージ傘下の半導体製造工場の画像検査工程に適用する計画だ。

画像 ニュースリリースより
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 製品の外観画像を使った異常検知は、製品異常の発生頻度が低く異常データの収集が困難なため、正常データのみから学習する手法が必要だ。

 正常データだけから「正常データらしさ」を学習する既存のAIは、画像データからその特徴を潜在変数に数値化(符号化)し、それを再度、画像データに復元する手法。異常データは正しい画像に復元できないため、入力時と復元時の画像データの差から異常検知できる。

 だが、この手法では、似た画像同士を誤った潜在変数にひも付けて学習してしまうことがあり、検知精度が不十分だった。

 そこで新たに、独自の「dual-encoder BiGAN手法」を用いた深層学習AIを開発。潜在変数から復元された画像データを再符号化し、2つの潜在変数が一致するような制約を課して学習することで、撮影した部位や製品の種類によって状況が異なる場合でも、高い精度で画像を復元させ、高精度に異常を検知できたという。

 このAIを使用し、世界共通の手書き数字画像の公開データで異常検知を実施したところ、検知精度が従来の69.5%から79.1%に改善したという。社内の半導体製造工場で収集した検査画像の異常検知でも、精度が50.5%から91.6%に改善。今後、半導体ウエハーの検査に応用するなど、製品に適用していく計画だ。

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