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ふくらはぎをサポートし歩きやすくするソフトスーツ アリゾナ州立大学「SR-AFO」開発Innovative Tech

» 2021年02月04日 15時29分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 米アリゾナ州立大学の研究チームが開発した「Toward A Soft Robotic Ankle-Foot Orthosis (SR-AFO) Exosuit for Human Locomotion」は、靴の上から装着し、ふくらはぎ周辺の筋肉をサポートすることで歩く労力を軽減するソフトスーツだ。脳卒中や怪我で歩行困難な人のリハビリに活用できる。

photo ソフトスーツは靴の上から着脱でき、かかとからふくらはぎに沿ってフィットする

 人間が歩行するときは足首の筋肉を使って足全体を地面から押し出す。その際、足首は屈曲して上へと引き上げられるが、SR-AFOは引き上げる瞬間にかかとを上向きに引っ張ることで歩行をサポートする。

 SR-AFOのプロトタイプはひだが連続する靴下のようなデザインで、ウェットスーツなどで使用される弾性を持つネオプレーン素材と、水着などで使われる伸縮性のあるスパンデックス素材を組み合わせた空気圧アクチュエータで構成される。さまざまな靴の上から容易に着脱可能で、かかとからふくらはぎにかけて後ろ側に沿ってフィットする。

 足を地面から押し出した際に空気圧アクチュエータが収縮し、ふくらはぎ周辺の筋肉(腓腹筋とヒラメ筋)への負荷を和らげる。足を下ろした際には空気圧アクチュエータが伸びるよう元に戻る。これを繰り返すことで前方歩行時にかかる負荷を軽減する。

photo 足を下した状態(a)かかとを上げて前に進もうとすると空気圧アクチュエータが伸縮し引き上げる(b)

 3人の参加者が装着し歩行した結果、腓腹筋の利用率は平均13.4%減少、ヒラメ筋は平均16.6%減少と、本来歩行時に必要とされる筋肉量を補うことに成功したとしている。

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