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タトゥーシールのように貼れるOLED 水で転写、緑色に発光Innovative Tech

» 2021年03月12日 06時23分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 イタリアIstituto Italiano di Tecnologia(IIT)と英University College London(UCL)による研究チームが開発した「Ultrathin, Ultra‐Conformable, and Free‐Standing Tattooable Organic Light‐Emitting Diodes」は、OLED(有機EL)をタトゥーシールのように、さまざまな表面に貼り付けられるようにした安価なデバイスだ。

photo タトゥーOLEDが緑色に発光している様子

 このデバイスは、電極と市販のタトゥー紙の間に絶縁層を、電極間には発光ポリマーをはさみ込む。全体の厚さは2.3μm。発光ポリマー自体の厚さは76nmで、スピンコーティング技術を使って薄く作成する。

photo タトゥーシールのように貼り付け可能なOLED

 研究チームは、作成したタトゥーOLEDを、ガラス板、ペットボトル、果物のオレンジ、包装紙に貼り付けて実験した。貼り付け方は市販のタトゥーシールと同じで、押し付けて水をかけることで表面に転写する。他の電子機器と組み合わせ、全ての表面素材で緑色に発光させることに成功したという。

photo ペットボトルや果物などにタトゥーOLEDを貼り付け、緑色に発光させている様子

 スポーツ選手の皮膚に貼り付けて脱水症状を知らせるために発光する、食べ物の賞味期限が過ぎると発光する、ファッションのように爪に貼り付けて発光させる……などの活用例を研究チームは挙げている。

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