この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「マイクロソフト、2021年中にAzureを展開するすべての国のリージョンで「アベイラビリティゾーン」を提供」(2021年3月23日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
米Microsoftは3月17日、同社のクラウドサービスであるMicrosoft Azureを展開する全ての国のリージョンにおいて、2021年中にAvailability Zone(アベイラビリティゾーン)を提供することを発表しました。
また、これに合わせて同社の主要なクラウドサービスも2021年中にアベイラビリティゾーンへの対応を可能にするとしています。
今後新規に展開されるMicrosoft Azureのデータセンターにおいても、アベイラビリティゾーンが用意されることになるため、今後Microsoft Azureにおいてもアベイラビリティゾーンは冗長化における基本的な仕組みとなります。
アベイラビリティゾーンとは、リージョンを構成する複数の物理的に分離されたデータセンターのことです。それぞれのデータセンターは高速な回線で接続されつつ、通信において大きなレイテンシを生じない程度の距離をもって構築され、電源や施設や外部とのネットワーク接続は物理的にそれぞれ独立しています。
これにより、あるアベイラビリティゾーンでの障害をそのアベイラビリティゾーン内だけにとどめることが可能になります。そして複数のアベイラビリティゾーンを組み合わせることで、冗長化を可能にするわけです。
アベイラビリティゾーンはもともと米Amazon Web Serviceで提供され、同クラウドにおいては冗長化のための基本的な仕組みとして広く知られています。
一方、Microsoft Azureでは以前から冗長化を実現する仕組みとして、複数のインスタンスの稼働場所にリージョン内の物理的に異なるサーバラックを自動的に割り当ててくれる「Availability Set」(高可用性セット)と呼ばれる機能が用意されていました。しかしアベイラビリティゾーンという考え方や物理的な構成は当初用意されていませんでした。
17年、MicrosoftはAWSと同様にリージョンを独立した複数のデータセンターで構成する「アベイラビリティゾーン」の提供を開始すると発表。米国東2(バージニア)と西ヨーロッパ(オランダ)のリージョンでの提供開始を皮切りに、その提供範囲を広げていきました。
日本でも2019年に東日本リージョンで3つのアベイラビリティゾーンが提供開始となっています。
今回の発表は、このMicrosoft Azureにおけるアベイラビリティゾーンの提供が、Microsoft Azureが展開される全ての国で完了することを約束するものです。
前述の通り、これに合わせてMicrosoft Azureの主要サービスもアベイラビリティゾーンに対応するとのこと。さらにドキュメントとして公開されているAzure Well-Architected Frameworkでも高可用性のためにアベイラビリティゾーンの活用が組み込まれるようになっています。
これでアベイラビリティゾーンはMicrosoft Azureでも冗長化のために基本的な考え方になったといえます。また多くの他のクラウドでも同様の考え方が採用されているため、アベイラビリティゾーンはクラウド業界においても基本的な冗長化のための仕組みであると、ほぼ一般化されたと見なしていいのではないでしょうか。
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