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E2EEメールサービス「ProtonMail」、当局に活動家情報を提供したことについて説明

» 2021年09月07日 11時57分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 スイスに拠点を置くE2EE(エンドツーエンド暗号化)メールサービスProtonMailに対する批判が高まっている。同社が当局の要請に従ってフランスの活動家にリンクしたIP情報を提供し、それがこの活動家のフランスでの逮捕につながったと、活動家グループが9月1日(現地時間)、反資本主義メディア仏Paris-luttes.infoで主張したためだ。

 proton ProtonMailは日本でも利用できるE2EEのメールサービス

 ProtonMailのアンディ・イェンCEOは6日、この問題について公式ブログで説明した。

 ProtonMailへの要請は、フランス当局から直接あったのではなく、欧州刑事警察機構(EUROPOL)経由の要請をスイスの裁判所が承認した。イェン氏は「スイス当局から法的拘束力のある命令を受け、ProtonMailにはこれを順守する義務がある」と説明した。

 同社のプライバシーポリシーによると、当局からの要請に応じて提供する情報には、ユーザーのアカウント情報が含まれる。ただし、メールの内容はE2EEで暗号化されているため、提供できない。

 ProtonMailに対しては、当局からの要請への対応についての説明が不十分だという批判もあり、イェン氏はWebサイトとプライバシーポリシーを更新してより明確に説明すると約束した。

 また、より高い匿名性を求めるユーザーには接続経路匿名化ソフト「Tor」の利用を勧めた。同社は2017年から公式Onionサイトを提供している。

 ProtonMailの透明性レポートによると、当局からの要請は急増しており、2020年のスイス当局からの要請は前年の2倍以上に当たる3572件だった。

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