多くのデジタルトランスフォーメーション(DX)先進企業では、「やたがらす人材」が中心となり、DXをけん引していた──情報処理推進機構(IPA)は9月21日、そのような結果を示したDX先進企業のヒアリング調査結果を発表した。
IPAでは、欧米諸国と比べて日本国内のDX推進が進んでいないことを受け、DXを推進するためにITシステムのあるべき姿や、DX推進を阻害する技術的・組織課題と、それを克服した事例の調査を実施。DXの先進性を評価し、業種別にピックアップした国内外の22社にヒアリングした。
その結果、多くのDXの先進企業では「やたがらす人材」が中心となり、DXの方向性や技術の導入・開発推進、事業への展開をけん引していることが明らかになったという。やたがらす人材とは、経営と事業、技術の3つに精通し、リーダーシップを発揮できる人材を指す。
「彼らが経営の言葉で、経営者を説得し、事業の言葉で事業部門を巻き込み、技術の言葉で開発メンバーと実現可能性の議論することで、スムーズにDXプロジェクトを立案・推進できる」と報告書に記されている。
一方、やたがらす人材がいない組織もある。その場合は、現場の人材をDXプロジェクトに巻き込み、デジタル技術の知見を身に着けさせることや、経営陣と議論をする機会を増やし、経営に対する知見をつけるなど、やたがらすのロールを担える人材を育成していたという。
IPAは「今回ヒアリングした企業は、順風満帆にDXを実現できたところはない。失敗を教訓としてトライをし続けた結果として、成功につながっている」とし、「これらの知見を共有することによって日本のDXが加速することを期待している」と報告書を締めくくった。
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