さてそのEFI、2000年12月に最初のリリース(1.02)が公開され、2002年12月に1.10がリリースされている。ただ、Intelはここから、EFIをもっと汎用のものにすべく、PCIとかUSBと同じようにOpen Standardに切り替える。
2005年にIntel主導でUEFI Forumが設立され、IntelはここにEFI Specificationを寄贈する。UEFIの創立メンバーはAMD、AMI(American Megatrends Inc.)、Dell、HP、IBM、Insyde Software、Intel、Microsoft、Phoenix Technologiesの9社である。
この中でAMIとInsyde Softwareは聞き慣れない方もおられようが、どちらも互換BIOSを手掛けているベンダーであり、互換BIOSを扱っているベンダーが全て集結した格好だ(ちなみにAwardは? と思われる方がいるかもしれないが、Award Software International Inc.は1998年に株式交換の形でPhoenix Technologiesに買収されている)。
組織そのものはPCI-SIGとかUSB-IF同様にオープンな形で運営され、EFI 1.10(写真4)をベースにまず2006年に2.0がリリース。以後順調に版を重ね、最新版は2019年3月にリリースされたVersion 2.8となっている(Errataは2020年6月にErrata Bが出ている)。
最新のUEFI Specification Version 2.8でのUEFI Conceptがこちら(写真5)。完全に旧来のBIOSを置き換えた形になっている。
UEFIのメリットはいっぱいあり、
などがぱっと思いつくところだ。
もちろん後方互換性も保たれる。写真5でLegacy BIOSがないことに気が付かれたかと思うが、UEFIではその代わりCSM(Compatibility Supported Module)という機能が用意される。
正確にいえばCSMはUEFIそのものの仕様ではなく、UEFIに旧来のBIOSと同じ動作をさせる追加モジュールであるが、これを利用すればUEFI搭載マシンで旧来のBIOSを使うOS(MS-DOSとかWindows 9xとか)を稼働させることも可能である。
最新のハードウェアについてはちょっとだけ補足が必要だろう。
かつて32bit OSでは2TB以上のHDDが扱えない、という問題が出たことがある。
冒頭でHDDの管理がCHSからLBAに変わったという話をした。LBAは最大48bitなので、容量128PBまでハンドリングできる。なのだが、32bit Windowsでは扱えるLBAが32bitに限られてしまい、結果2TBが最大容量になってしまう、という妙な制限が出たことが要因である。
解決策の1つは64bitのWindowsに切り替えるというものだが、別の方法としてHDDの管理方式をGPT(GUID Partision Table)に切り替えるという策がある。
従来HDDの管理はMBR(Master Boot Record)方式を採用しており、ここにも32bitの壁があったのも2TB以上を扱えない一因であったが、これを回避するのがGUID方式である。問題は旧来のBIOSではこのGUIDをハンドリングできないことで、ところがUEFIでは当初からGUIDを扱えるようになっており、2TB超のHDDでも扱いに問題はない。
これはHDDだけではない。USBマウスのハンドリングしかり、Ethernetや最近だとWi-Fiのドライバまで含まれていたりするが、これはUEFIが後からドライバを追加して利用できる仕組みになっているからこそ可能な技である。あるいはBIOS UpdateのユーティリティーとかマザーボードのLED照明の制御とかファン制御とか、さまざまなものがUEFIのSetup画面から利用可能だが、こうした新デバイスとか新機能を追加できることもUEFIのメリットの1つである。
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