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BIOSからUEFIへ BIOSはなぜ終わらなければならなかったのか“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る(4/4 ページ)

» 2022年02月24日 07時00分 公開
[大原雄介ITmedia]
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Arm、RISC-Vにも広がるUEFI

 そしてUEFIはx86以外にも利用されている。Intelはかつて出していたXScaleというArm v5ベースのシステムにUEFIを利用していたし、Linux 5.10はUEFIベースのRISC-Vマシンでのブートを既にサポートしている(移植そのものは、2016年のUEFI PlugfestでHPEによる移植レポートが上がっており、かなり昔から取り組んでいたことが分かる)。

photo HPEによる、RISC-VへのUEFI移植レポート

 Windows 11のように旧来のBIOSから完全に脱却したOSもあり(BIOSにはもちろん未対応だし、UEFIでCSMを有効にしているとそもそもインストールが出来ない)、今後はUEFIがPCの基礎になるのはもう確定事項というか、既にそうなっているといっても差し支えないだろう。

photo Windows 11はBIOSには対応しない

 もっともそのUEFIも、最初に搭載されたのは2003年(GatewayがInsyde Softwareの提供するInsydeH2OというUEFIを採用した)であり、2005年辺りからIntelのマザーボードはUEFIに切り替えられたものの、当時はCSMを有効にして旧来のBIOSと同じ動作をするという使い方がなされていた。

 もちろんそれでも、プログラムサイズの制限がなくなる等のメリットはあったわけだが。一方、OSの側のUEFIのサポートが本格的に始まったのは2000年代後半である。

 サーバ向けはともかくとして、コンシューマー向けでいえば64bit版のWindows Vista(2006年)とAppleのMac OS X Tiger(バージョン10.4、2006年)が最初である。

 ただmacOSはともかくWindowsの方は本格的にサポートされるようになったのは次のWindows 7(2009年)で、ただサポートされたとはいえ当時はCSMを使ってブートする方が多かったと記憶している。

 CSMを使わずに、UEFIとして利用するのが当たり前になったのは、それこそWindows 10が出た2015年とかそのくらいではないかと思う。つまりリリースから10年掛けて、ゆっくりBIOSからUEFIへの移行が行われたわけだ。いくら技術的に優れていても、物事が変わるのはゆっくりである、という良い例ではないかと思う。

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