“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る
カセットからフロッピー、そしてハードディスクを制御するSASI、SCSI、IDE、ATA、SATA――さまよえるストレージ用インタフェース標準を語る(1/5 ページ)
昔ながらのIBM PC、PC/AT互換機からDOS/Vマシン、さらにはArmベースのWindows PC、M1 Mac、そしてラズパイまでがPCと呼ばれている昨今。その源流からたどっていく連載。第15回はちょっと目先を変えて、ストレージ用インタフェースの進化について。
- 第1回:“PC”の定義は何か まずはIBM PC登場以前のお話から
- 第2回:「IBM PC」がやってきた エストリッジ、シュタゲ、そして互換機の台頭
- 第3回:PCから“IBM”が外れるまで 「IBM PC」からただの「PC」へ
- 第4回:EISAの出現とISAバスの確立 PC標準化への道
- 第5回:VL-Bus登場前夜 GUIの要求と高精細ビデオカードの台頭
- 第6回:VL-BusとPnP ISA PCの仕様をMicrosoftとIntelが決める時代、始まる
- 第7回:Intelが生み出したさまざまなPC標準規格 Microsoftとの協力と対立
- 第8回:USBが誕生したのは「奥さんのプリンタをつなげる手間にキレたから」 USBの設計当時を振り返る
- 第9回:Modern PCの礎、PCIはどう生まれ、いかに成立していったか
- 第10回:PCのスケーラビリティを決定付けた超重要コンポーネント、地味にスゴイ「APIC」の登場
- 第11回:ラップトップPCのための基礎技術が生まれるまでの紆余曲折
- 第12回:PC互換機はIntelだけではない ジョブズのいないAppleが進めたPRePとCHRP
- 第13回:Intelがメモリ標準化で主導権を失うに至った“やらかし”について
- 第14回:Intelのさらなる“やらかし”と、Intelが主導するPCアーキテクチャの終わり
今月の話はちょっと寄り道で、ストレージ用インタフェースの話をしたい。
そもそもマイコンが世の中に生まれた時、つまりこの連載の初回の頃には、プログラムを打ち込んでも、それを格納したり、そこから読み出すための機器は標準では用意されていなかった。
最初のPCと言われているAltair 8800にしても、入手した直後はフロントパネルに16個並んだスイッチをオン/オフしながら1ByteずつプログラムをRAMに格納していく(NECのTK-80は16進のキーがついてるだけ便利、と最初見たときに思ったほどだ)しかできず、電源を切ると打ち込んだプログラムはパーになる。
大型の計算機(メインフレームやオフコンなど)では、紙テープやパンチカード(マークシートもあった)、さらにお高いシステムでは磁気テープドライブを利用してプログラムの格納・読み出しやデータの入出力が可能になっていたが、そんなものはもちろん、マイコンでは使えない。
カセットテープ時代とKansas City standard
幸い、もう少し現実的な方法がすぐに一般的になった。当時はどこのご家庭にもあったカセットテープレコーダーを利用してプログラムを保存する方式で、記録速度は300baud(つまり1秒に300bit=37.5Bytes/sec)。この方式はさまざまなマイコンで採用された。
当時創刊されたばかりのByte誌が、この記録方法の統一を呼び掛けて1976年に米国カンサス市でシンポジウムを開催したことにちなみ(写真1)、この300baudの記録方法はKCS(Kansas City standard)と呼ばれている。
残念ながらもっと速度を出せる組み合わせが大量に出てきたことでこのKCSは普及しなかった(というか、すぐに独自規格に移行してしまった)が、現実問題として、異なる機種間でカセットテープを使ってデータ交換するというニーズがほとんどなかったから困らなかった、ともいえる。
このカセットテープの時代は長く続いた。1983年に大学に入学した折にPC-9801を購入したが、予算の関係でCRTディスプレイの画面は200Line(640×200ピクセル)、漢字ROMも入れず、その代わりにFDD(フロッピーディスクドライブ)を組み合わせた(もちろん純正は買えないので、どこかの互換品)。同級生にも何人か大体同じ予算でPC-9801を買った人間がいたが、彼らは400Line(640×400ピクセル)表示で漢字ROMを入れたため予算がオーバーするのでカセットテープインタフェースという組み合わせだった。
そのちょっと後にMSXが普及したが、やはりカセットテープを使っているユーザーが圧倒的に多かった。
そうしたユーザーがFDDに移行するのは大学3年になったころだから、1986年辺りだっただろうか? PCでワープロや表計算を使うようになると、さすがにカセットではどうにもならないといった理由だったと思う。
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“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る
RISCの歴史、Apple Siliconの歩みを語ってきた大原雄介さんのコンピュータ歴史連載、テーマはズバリ「PC」だ。
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