IBM PC、PC/AT互換機からDOS/Vマシン、さらにはArmベースのWindows PC、M1 Mac、そしてラズパイまでがPCと呼ばれている昨今。その源流からたどっていく大原雄介さんによる解説の第6回。前回はVL-Bus登場前夜 GUIの要求と高精細ビデオカードの台頭まで。
「ビデオカードの帯域不足」の根本的に解決するには、もうI/Oの帯域を増やすしかない。とはいいつつ、EISAは高価でその割に帯域は低い(ピークで33MB/sec)し、MCAは政治的および価格的な問題で採用できない。だからといって一から新しいI/O Busを策定していたら時間が掛かる。そこで誰が思い付いたのかは知らないが、「80486のCPUバスにビデオカード直結すればいいんじゃね?」というアイデアが登場した。
賢かったと思うのは、このアイデアを思い付いた当人たちだけで具現化するのではなく、VESAに持ち込んだことだろう。
VESA(Video Electronics Standards Association)は名前の通り、ビデオ映像絡みの規格の標準化を行っている業界団体であって、発足は1989年。当初、というか1989年〜1991年に標準化作業を行った規格のVBE(VESA Bios Extension)はこんな感じ(写真1)。
ビデオカードのレジスター設定とかリフレッシュレートと表示タイミング、ビデオBIOSなどが主な作業範囲であって、I/Oバスの規格なんていうのは本来VESAのカバー範囲外である。恐らくは他に適当な団体もなく、「ビデオカード用のI/OバスなんだからVESAがやったっていいじゃないか」的なゴリ押しにVESAが負けた、という辺りが真相だと思う。
とにかくその80486のバスをI/Oバスとして利用するための規格策定を行う羽目になった。当時VESAにはSuperVGA、Monitor、Multimedia、XGAという4つのCommittee(委員会)が存在しており、それぞれのCommitteeが拡張規格の標準化などを行っていたのだが、1991年12月に5つ目のLocal Bus Committeeが発足。ここがビデオカード用Local Busの仕様策定に携わることになる。最終的に1992年8月、VESA Local Bus Standard 1.0がリリースされることになった。
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