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» 2020年11月20日 18時12分 公開

新連載「“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る」:“PC”の定義は何か まずはIBM PC登場以前のお話から (2/3)

[大原雄介,ITmedia]

PCの歴史(IBM PC以前)

 時系列でいくつか紹介すると、

  • 1975年1月:米MITSが「Altair 8800」を発表。世界最初のパーソナルコンピュータ。基本セットはS-100 Busの上に8080のカードが刺さる「だけ」という代物だ。そのS-100 BusもAltair 8800のためにMITSが開発した独自規格であるが、何しろ他に選択肢がなかったこともあり、その後、事実上の業界標準になる(さらにその後はIEEE-696として標準規格化もなされる)。ソフトウェアとしては、MicrosoftがこのAltair 8800の上で動くBASICを供給した。
  • 1975年12月:米IMS AssociatesがIMSAI 8080を発表。Altair 8800によく似た構造だが、もっとビジネス向けに堅牢(けんろう)というか真っ当(まっとう)な作りになった。ソフトウェアは変わらず。
  • 1976年:米Digital Research(当初の社名はIntergalactic Digital Research)が設立。同社は8bit CPU向けにOS「CP/M」を提供する。8080/8085とZ80を積んだシステムで、FDDが1台以上あり、16KB以上のDRAMを搭載していれば稼働するというもので、これに該当する多くのメーカー(次の米Cromemcoなどもその代表例だ)にCP/Mが移植された。
  • 1976年8月:Cromemcoが「Z-1」を発表。構造はAltair 8800やIMSAI 8080に似ているが、Z80ベースというのが大きな相違点。1997年には後継の「Z-2」も出ている。独自のCROMIXと呼ばれるUNIX風OSの他にZ80 BasicやFortran IVが提供された。HDDが標準オプションで提供されたのも大きな進化である。パーソナルというよりはビジネス用途に利用できる製品だった。
  • 1977年1月:米Commodore Internationalが「PET 2001」を発表する。搭載するのは1MHz駆動の6502で、当時としては近未来的なデザインが話題になったが、その半面、打ちにくいキーボードとか乏しいメモリなどいろいろと使いにくかった。ただ同社はこの後継として「VIC-20」というマシンを1981年に投入。これが大ヒットし、世界で最初に100万台売れたマイコンの称号を得ている。
  • 1977年6月:米Apple Computerが「Apple ][」を発表。同社はこれに先んじて1976年には「Apple Computer 1」(Apple I、サブスクではない)を666.66ドルで発売しているが、総販売台数は200台未満なのでこれはとりあえず置いておく。Apple ][は完成度の高いマシンであり、しかもFDD/HDDに対応したDOS(Disk Operating System)も提供した。さらには多くのサードパーティーがApple ][に向けた周辺機器やソフトウェアを提供した。その最大のものが米VisiCorpのVisiCalc(表計算ソフトの元祖)であり、これはAppleを大きく成長させるとともに、VisiCorpを大企業に成長させることにもつながった。
photo Apple ][(出典:Computer History Museum
  • 1977年8月:米Tandy Radio Shackは「TRS-80」を発表する。こちらもFDDやHDDが提供され、またサードパーティーも100社以上が集まり、大きく発展することになる。
  • 1979年11月:米Atariが「Atari 400/800」を発表する。同社はビデオゲーム(Atari VCS)が主力製品でパソコンは二の次という扱いだったこともあり、結局ほとんど売れずに終わる。
  • 1980年:英AcornがAtomを発表。この話はRISC連載の「ARMの誕生」で細かく書いたので今回は割愛。
  • 1980年1月:英Synclairが「ZX80」を発売。Z80(実際にはNECのZ80互換チップであるμPD780Cを利用することが多かったらしい)ベースの小型マシンである。英国圏ではかなり広く利用され、米国や日本にも入ってきた。この後継として「ZX81」も翌1981年3月に発表される。
  • 1980年5月:Apple Computerが「Apple III」を発表。まあ記録的な失敗作として有名である。こちらの記事では、Apple製品のワーストワンに堂々輝いている(?)

といった辺りだろうか。

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