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» 2021年07月30日 10時30分 公開

Modern PCの礎、PCIはどう生まれ、いかに成立していったか“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る(1/5 ページ)

[大原雄介,ITmedia]

 IBM PC、PC/AT互換機からDOS/Vマシン、さらにはArmベースのWindows PC、M1 Mac、そしてラズパイまでがPCと呼ばれている昨今。その源流からたどっていく大原雄介さんによる連載。前回はUSB。今回はUSBと並んで現在も使われているバス技術、PCIの歴史を解説する。


 前回はUSBの話をご紹介したわけだが、いろいろな意味でその基礎になっているのがPCIである。

 標準化団体を作り、そこで仕様の核の部分を少人数で決定した後、少しずつメンバーを増やしながら仕様をブラッシュアップしていく手法や、PlugFestと呼ばれる相互接続性試験を頻繁に行うなどの、「仕様を確立し、それを普及させていくための方法論」はPCI由来のものである。ただし、それだけではない。

  • Plug & PlayデバイスをOS Kernelで扱う(PCIもPlug & Playであるためダイナミックなデバイスドライバのロード/アンロードの仕組みがKernelに要求される)ための仕組みはPCIが先に実装しており、この枠組みをそのまま利用できた
  • USB 1.1で実装されたLow Speed(1.5Mbps)はともかく、Full Speed(12Mbps)は、ちょっと前だと扱うのがかなり困難な「高速な信号」に分類される速度であったが、実際にはそれほど問題にならなかった。というのは、PC業界はその前にISA(信号速度8.33MHz)からPCI(33MHz)への移行を経験しており、それに向けて例えばPCB(プリント基板)の材質改善とか配線層の厚みの均一化、ICに高速なドライバの搭載、信号電圧の低下への対応などの課題を苦労して乗り越えてきていたからだ。こうした経験があったことで、USBの普及時にはすでに12MHzくらいの信号だと「高速な信号」の範囲に入らなくなった

といった形で、さまざまな恩恵を受けることができた。

 さてそのPCI、正式名称がPeripheral Component Interconnectなので、本来PCI “Bus”と呼ぶのは正しくない気がするのだが、PCI Specificationでのタイトルは“PCI Local Bus Specification”となっており(写真1)、それもあってPCI Busという表記が多い。まあどっちでもいい、ということだろう(本稿では筆者の趣味でPCIのままとする)。

photo 写真1:PCI Specificationの表紙。ちなみに最新版は2004年2月にリリースされたRevision 3.0(Firmware Specificationは2015年1月のRevision 3.2)となっている
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