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Modern PCの礎、PCIはどう生まれ、いかに成立していったか“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る(5/5 ページ)

» 2021年07月30日 10時30分 公開
[大原雄介ITmedia]
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 そんな訳で、PCIが本格的に普及し始めたのは1995年以降である。タイミング的に言えばP54CのPentium/90・100MHzがリリースされた頃合いであり、VL-Busで対応できるチップセットが無いこともあり、割とスムーズに移行ができた。

 ビデオカードに関しては、1995年頃はまだISAやVL-Busのビデオカードを無理やりPCI対応にした、という感じの製品が少なくなかったが、Matroxが1995年にリリースしたMilleniumは当初からPCI対応であり、低価格版として1996年に出したMistiqueもやはりPCI対応。日本では人気が出なかったTseng LabsのET6000とかDiamondのStealth 64など、それなりにラインアップがそろってきた。

 そして1997年にNVIDIAがRIVA 128をリリースするに至り、もうVL-Busは見向きもされなくなった。その意味ではSpecificationのリリースから5年ほど掛かったものの、無事にPCIは立ち上がることになった。逆説的な言い方にもなるが、EISAやMicroChannelの失敗の後、PCIが立ち上がるまでの間をVL-Busが埋めてくれたのは業界にとってもラッキーだったといえるのかもしれない。

 そしてPCIはその後、着実に“PC”の基礎となった。この後PCIは、グラフィックスカード向けにAGPという拡張規格を派生させ、またその先ではPCI Expressにつながる道を確立した。

 I/O BusとしてPCIが利用できるようになったことで、割り込み管理に関しても新しい規格が必要、ということでACPIにつながり、その先UEFIにまで連なる一連の流れの“きっかけ”を作ったともいえる。

 最近はPCI Expressと区別するためにConventional PCI(以前“Legacy PCI”と言ったら、前回出てきたアジャイ・バット氏に「PCIはLegacyじゃない」と怒られたことがある)と称するが、Modern PCの礎ともいうべき要素がPCIである。

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