1月に海外で新型「THETA(シータ) X」を発表したリコー。国内は「発売予定」のまま、4月からTHETAの販売をリコーイメージングからリコーに移管すると発表した。つまり業務用が中心となるわけで、一般ユーザーの中には「今後もTHETAを入手できるのか?」と気になっていた人も多いだろう。
リコーは3月30日、報道関係者に向けて今後の販売戦略を説明した。結論からいうと、従来リコーのカメラを販売していたリコーイメージングが取り扱うのは「GR」と「PENTAX」となり、THETAは外れる。そしてTHETAシリーズは新しく立ち上げるECサイトでの販売になるということだ。
カメラ量販店での販売はなくなるのかと思うかもしれないが、リコーイメージングではなくリコーと直接取引がある販売店もあって、そうした店では販売する可能性があるようだ。それでもオンラインが中心になるだろう。
背景にあるのは、ビジネスにおける360°画像の普及だ。2019年半ばからTHETAは仕事に使えるということで、ビジネス契約ユーザーが急激に増えている。リコーによると世界で約6万社に達する勢いだという。
すでに不動産や建築の業界ではTHETAと組み合わせてバーチャルツアーを制作する「RICOH 360 Tours」や建築現場の業務を管理できる「RICOH360 Projects」といったクラウドサービスが広がっている。リコーはそれらを強化し、THETAとソフトウェアとクラウドサービスを融合した「業界横断型360プラットフォーム」として新しい事業領域(Smart Vision事業)に注力する考えだ。
360°の全天球画像や映像はリアルとバーチャルの融合であり、デジタルツインやミラーワールドと相性がいい。そしてカメラとソフトウェアとクラウドサービスの3つを自社でまかなえるメジャーな会社はリコーのみ、ということで、リコーは商品とサブスクを組み合わせた“SaaS + a Box”で有力プレイヤーを目指す。
ユーザーとしても360°画像を自社のコンテンツに組み込む際のハードルが低くなる。
確かに最近、不動産関係のサイトを見ると360°画像を使ったバーチャルツアーによる物件紹介をよく見るようになった。中古車販売ではコロナ禍もあって360°画像で車内の様子を詳しく見せるサイトがポピュラーになっている。今後ますます伸びていくのは間違いあるまい。
その事業を主力することで、THETAはカメラ単体ではなくSmartVisionを構成する1つの製品と位置付け、THETAもコンシューマー向けのカメラを取り扱うリコーイメージングから切り離されることになったとみていいだろう。
THETA Xの仕様もその流れで見ると分かりやすい。
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