3月上旬、米MicrosoftはAIを使った新しい画像処理「Video Super Resolution(以下VSR)」を発表した。低解像度だったり圧縮ノイズのある映像を、AIを使ってノイズ除去と解像度を上げる技術で、Edge上で動作する。
演算には今のところNVIDIA RTX 20/30/40シリーズもしくはAMD RX5700〜7800シリーズのGPUが必要となっている。YouTubeなどにアップされている映像をブラウザで視聴する際に、ローカルのGPUを使って演算し、高解像度に表示するというわけである。現在Edgeの開発テスト版である「Microsoft Edge Canary」のユーザーの約50%が利用可能となっている。
同様の技術は、現地時間の2月28日に米NVIDIAからも発表されている。「RTX Video Super Resolution」というもので、GeForce RTX 30/40シリーズで最新ドライバ「531.18」、Microsoft EdgeおよびGoogle Chromeで動作する。
あいにく筆者はMacユーザーなのでまだこの両技術の恩恵にあずかれないが、これの静止画版である「Image Super Resolution」はすでに「Bing Maps」に搭載されており、その威力を確認できる。
大手町付近を、Bing MapsとGoogle Mapの両方で表示させてみた。
全く同じ写真データではないが、ビルの輪郭や植生のリアリティーがかなり違うのが分かる。Bing Mapsでは、どの拡大率でもだいたいこの解像度で表示できるのは驚きだ。皆さんもぜひ試してみてほしい。
航空写真データは、高解像度写真で世界中を網羅するとなると、キリがないレベルの巨大なデータになり得る。だが「ある程度の解像度」さえあれば、あとは拡大してもAIが補完してくれるなら、果てしないデータ量から解放される。
これまで画像系AIは、「Stable Diffusion」や「Midjourney」のように、コマンドから実在しない画像を作り出すものであったが、既存データの修復や高解像度化という方向も出てきた事になる。もちろんAIによる補完部分は、ある意味「存在しないデータを作っている」事になるが、葉っぱの生え方をジェネレートしたからといって、実用上問題になるわけではないだろう。ぼやけた画像を目を凝らしながら見るより、実用度が高いことは言うまでもない。
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