米OpenAIの取締役会が11月17日(現地時間の金曜午後)にサム・アルトマンCEOの事実上の解任を発表してからの激動は、20日月曜に株式市場が開く直前に米Microsoftのサティア・ナデラCEOが新CEOの就任と、アルトマン氏のMicrosoft入りをXにポストしたことで一旦収束したが、その後も動きは止まっていない。ナデラ氏のポスト以降の動きをまとめる。
ナデラ氏は、アルトマン氏とOpenAIの社長を辞任したグレッグ・ブロックマン氏のMicrosoft入りと共に、元TwitchのCEO、エメット・シア氏がOpenAIのCEOに就任したことをXにポストし、そのポストをアルトマン氏は「ミッションは続く」と引用ポストした。
シリコンバレーの古参ジャーナリスト、カーラ・スウィッシャー氏は20日早朝、OpenAIの従業員約700人中505人が署名したという取締役会への書簡の画像をポストした。この書簡で従業員は、「これまでの行動で、取締役会にOpenAIを監督する能力がないことが明らかになった」とし、現在の取締役全員が辞任し、アルトマン氏とブロックマン氏を復帰させなければMicrosoftの子会社に入社するとしている。
OpenAIの従業員、ボリス・パワー氏によると、この書簡は日曜日の真夜中過ぎに提出された。取締役会は日曜、全社会議を招集したが、ほぼ全従業員がこれを拒否したという。
この時点の取締役は、共同創業者でチーフサイエンティストのイリヤ・サツケバー氏、米Quoraのアダム・ディアンジェロCEO、米GeoSim Systemsの元CEOのターシャ・マッコーリー氏、米Georgetown Center for Security and Emerging Technologyの戦略ディレクターであるヘレン・トナー氏の4人のはずだが、書簡の署名者の中にサツケバー氏の名前も見える。
暫定CEOに指名されたミラ・ムラティ氏もこの書簡に署名している。
CEOを引き受けたシア氏は20日の午前1時に、CEOを引き受けたことをXで発表し、まずは「これまでの経緯全体を詳しく調査」し、「経営陣とリーダーシップチームを改革する」と説明した。結果次第で「ガバナンスの大幅な変更を推進する」可能性もあるとしている。
ミラ・ムラティ暫定CEOやジェイソン・クォンCSO(最高戦略責任者)など、多数のOpenAIの幹部がいっせいに「人あってこそのOpenAI」と同じメッセージをポストした。
これらのポストを、アルトマン氏がそれぞれにハートの絵文字でリポストしている。
アルトマン氏はその数時間後、「OpenAiのリーダーシップチーム、特にミラ(暫定CEO)、ブラッド(COO)とジェイソン(CSO)、そして実際には全員が、この事件を通して歴史の本に残るであろう素晴らしい仕事をしてくれている。彼らを信じられないほど誇りに思っている」ともポストした。
OpenAIの共同創業者でチーフサイエンティストのイリヤ・サツケバー氏が、「取締役会の行動に参加したことを深く後悔している。OpenAIを損ねるつもりはまったくなかった。一緒に構築してきたものすべてが大好きで、会社の再統合のためにできる限りのことをするつもりだ」とポストした。アルトマン氏はこのポストにもハートの絵文字(しかも3つ)を付けてリポストした。
アルトマン氏は「われわれはこれまで以上に団結し、献身的に取り組み、集中力を高めている。皆、何らかの形で協力するつもりだ。私はとても興奮している。1つのチーム、1つのミッション」とポストした。「われわれ」が誰を指すのかは明記していないが、ハートの絵文字を付けた相手を含むのだろう。
アルトマン氏は「サティア(ナデラCEO)と私の最優先事項は、OpenAIが今後も繁栄し続けるようにすることだ。われわれはパートナーと顧客に業務の継続性を完全に提供することに全力で取り組んでいる。OpenAIとMicrosoftのパートナーシップにより、実現可能になる」とポストした。
複数の米メディアが、残っている取締役が取締役会を辞めれば、アルトマン氏とブロックマン氏がOpenAIに復帰する可能性があると報じている。
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