2023年は「ChatGPT」のような生成AIが急激に台頭し、サイバー攻撃を仕掛ける側も防ぐ側も、AIの活用に注目した年だった。国際的な対立が深まる中で、国家が関与する攻撃や政治的動機に基づくハッキング活動が多発。ランサムウェアの猛威が収まる気配はなく、恐喝の手口はますます妙化化・悪質化の一途をたどっている。
2024年はどんな年になるのか。サイバーセキュリティ各社がその予測をまとめている。
各社が筆頭に挙げているのがAIを利用したサイバー犯罪の悪質化・巧妙化だった。NortonやAvastなどを提供するサイバーセキュリティ企業の米Gen Digital(Gen)は、文字を動画に変換するなどのマルチメディア生成ツールが犯罪に利用されるようになり、動画が本物なのか生成されたものなのか見分けがつきにくくなると予想する。
そうしたAI生成コンテンツは、SNSで偽ニュースや詐欺広告、有名人のディープフェイクを拡散させたり、信頼できる相手を装ったダイレクトメッセージで相手をだましたりする手口に利用される。SNS以外でも、会社の経営者に似せた音声をAIで生成して社員をだますなど、ビジネスメール詐欺の手口も巧妙化しそうだ。
米Google Cloudのサイバーセキュリティ予測では、パリのオリンピックや米大統領選挙など、世界が注目する24年の出来事に注目する。そうした出来事は、さまざまな手口を使った攻撃の標的にされたり、詐欺などに利用されたりする恐れがある。
米大統領選挙ではスパイ行為や選挙介入を狙ったサイバー活動の激化が予想され、欧州議会選挙や台湾、韓国、インド、インドネシアの選挙でも同様のサイバー活動が起きるとGoogle Cloudは見る。
消費者は「慈善詐欺」にも注意する必要があるとしたのは露Kaspersky Lab。気候変動による災害や悲惨な軍事衝突が絶えない中で、慈善団体などは被害者の人道支援に乗り出している。しかし「困っている人を助けたいという願いは、そうした思いやりに付け込む詐欺グループの温床となる」とKasperskyは言い、24年は慈善関連の詐欺が増えると予想した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR