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能登半島地震で露呈、イーロン・マスク氏体制「X」の課題 偽情報などで混乱(2/2 ページ)

» 2024年01月10日 10時15分 公開
[産経新聞]
産経新聞
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不適切な投稿の監視や管理が不十分

 SNSに詳しい国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授(社会情報学)は、マスク氏が始めた広告収益分配プログラムによって、人々の関心の高さが経済的価値を持つ「アテンションエコノミー」が個人レベルで浸透する土壌ができたと指摘。アテンションエコノミーが広まると、投稿の過激化や偽情報などの拡散が起こりやすくなるという。かねてよりYouTubeでは再生回数を稼ぐため過激化する傾向があったが、「Xはより拡散力が高く、より簡単にインプレッションを稼ぐことが可能となる」と警戒する。

 イスラム原理主義組織ハマスとイスラエルの戦闘についても、Xでの偽情報の拡散や不十分な防止策が問題視されている。山口氏は、問題の背景に、マスク氏の表現の自由に関する独自の価値観があると指摘する。

 マスク氏はTwitter社の買収後、「言論の自由は民主主義の要で、ツイッターは人類の未来に重要な問題が議論されるデジタルの広場だ」と表明するなど、表現や言論の自由への考えを標榜してきた。マスク氏が断行した大規模な人員削減の影響も大きく、不適切な投稿の監視や管理を行う「モデレーション」が二の次になっていると語る。

 X社は、緊急時の誤情報に関するポリシーとして、「危機の影響を受けている人々に危害を加える可能性がある、誤った情報や誤解を招く情報を共有しているアカウントに対し、措置を講じます」としている。山口氏は、X社が規約を厳格に運用するとともに、「ユーザー一人一人が誤った情報の拡散に加担しない意識をもつことが重要」と強調する。

 そのために、他ユーザーの投稿のリポスト(再投稿)やシェア(共有)などをする前に、ほかのメディアがどのように伝えているか、誰が発信しているのか、画像も含めて、検証することが重要だとしている。

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