東京藝術大学が開催している「卒業・修了作品展」に生成AIを使った作品が登場した。「AIと制作」と題して、生成AIを利用して作ったアニメーションとその制作プロセスを明かした作品だ。実際に展示を見た人たちからもさまざまな意見が上がっており、SNS上でも話題になっている。
制作者は、なぜ卒業制作に生成AIを取り入れたのか。現役藝大生は、クリエイティブとAIの関係についてどのように考えているのか。記者も実際に作品を見に行き、制作者本人に話を聞いてきた。
この作品の名称は「AIと制作 -花夢- 2023」。会場では、アニメ映像を流す3台のモニターの周りを囲うように木製の小屋が立っており、その壁面には制作意図やプロセスの説明、実際に作成した絵コンテなどを展示している。
制作したアニメ映像は、ある老人と花を巡るストーリーを描いており、動画尺は約8分30秒。映像の脚本部分はAIチャット「ChatGPT」(GPT-3.5)を使って制作し、それを元にキャラクターデザインや背景、コンセプトアートなどを画像生成AI「Midjourney」で作った。映像の絵コンテや登場キャラクターのアニメーション制作、背景の加筆などは人力で行ったという。
3台のモニターで流れる映像はそれぞれ異なっている。メインモニターには「生成AIと人力を組み合わせた完成映像」、2つのサブモニターには「Midjourneyで作成した絵コンテのイメージに近い静止画をつなげた映像」と「AI画像を映像生成AI『Kaiber』『Gen-2』『Pika Lab』に流し込み作ったAI映像」を流し、それぞれ比較できるようになっている。
この作品の制作者は、美術学部先端芸術表現科に所属するKALIN(@kozukiren)さんだ。KALINさんに制作した理由を聞くと「これから制作活動をする際、どうやって折り合いをつけてAIと制作を行うか考えるために作ることにしました」と語る。
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