ITmedia NEWS > 社会とIT >
Tech Starter

スタートアップ創出支援 オープンイノベーション加速 埼玉県が2025年に「渋沢栄一サロン」開設へ

» 2024年03月01日 12時54分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 埼玉県は2025年に、JRさいたま新都心駅(さいたま市中央区)直結の民間ビル内に「渋沢栄一起業家サロン(仮称)」を開設すると決めた。スタートアップの創出を支援していくほか、県内事業者の大半を占める中小企業などと研究機関、起業家らのオープンイノベーションを加速する。「日本資本主義の父」とされる渋沢にちなみ、中長期的に県経済を底上げしていく狙いだ。

photo サロン開設前のプレイベントとして開催されたオープンイノベーションセミナー=さいたま市大宮区、昨年12月20日(埼玉県提供)

 県によると、サロンの目玉とするオープンイノベーションでは、起業家と民間企業、ベンチャーキャピタル、金融機関、大学などが互いの弱点を補い合いながら長所を持ち寄り、新たなビジネスチャンスを生み出す場をつくる。

 県は、特に比率が高い中小企業の積極的な参加を促す。オープンイノベーションの場に巻き込み、地場の中小企業の経営体力の強化を狙う。

 また、スタートアップ創出支援もサロンの重点機能に据えた。起業志望者を対象に先輩起業家らがメンターとなって資金調達の手法などを含めた創業をサポートする。

 イノベーション人材の育成にも取り組み、特に若い世代である大学生対象の起業プログラムの実施や高校生によるビジネスプランコンテストの開催を計画。中小企業のイントレプレナー(社内起業家)を想定した人材育成プログラムも実施するという。

 サロンの機能については22、23年度に大学教授らによる有識者会議で検討して決められた。

 県の計画では、開設は25年6月以降となる。同駅前のビル5階フロアを賃借し、プロポーザル方式で決める事業者が内装の設計・工事などを行う。24年度当初予算案に約1億9400万円の事業費が計上されている。

 県は当初、21年度の開設を目指したが、コロナ禍を受けて中小企業への支援を優先したことなどから開設時期がずれ込んだという。

 サロン名にもなる渋沢栄一は「近代日本経済の父」と称される深谷市出身の実業家で、新一万円札の肖像画に採用された。(柳原一哉)

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.