ITmedia NEWS > 社会とIT >

北朝鮮のIT技術者へのアプリ開発業務発注 日本企業からの報酬の90%前後を支払いか

» 2024年03月28日 16時04分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 北朝鮮のIT技術者にアプリ開発業務を発注したとみられる男2人がIT関連会社設立を巡り不正に登記した容疑で再逮捕された事件で、男らが立ち上げた同社が日本企業から業務受注時に受け取った報酬の90%前後を発注先の技術者側に払っていたとみられることが3月28日、捜査関係者への取材で分かった。神奈川県警などは一部が北朝鮮に送金された可能性があるとみて実態解明を急ぐ。

 捜査関係者によると、韓国籍の朴賢一容疑者(53)が主導する形で蓑毛勇郎容疑者(42)と設立したとされるIT関連会社「ROBAST」(広島県福山市)が複数の事業仲介サイトを使い、日本企業からアプリ開発などを受注。報酬の5〜10%前後を徴収して残額を資金移動業者を利用して北朝鮮のIT技術者側に支払っていたとみられ、神奈川県警などはその流れを追跡している。

 取引があった日本企業の中には発注したアプリの仕様などについて技術者側とやり取りした企業があったことも判明。政府が26日に公表した北朝鮮IT技術者に関する注意喚起の文書では「日本語が堪能ではない」「テレビ会議形式の打ち合わせに応じない」といった点が挙げられており、捜査の過程で同様の指摘をする日本企業関係者もいたという。

 県警幹部は「被害が重大であり得るからこそ、発注する企業側に自衛策をとっていただくことが大切だ」と話している。

photo 神奈川県警本部=横浜市中区

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.