【花蓮(台湾東部)=白岩賢太、五十嵐一】台湾東部沖地震で、震源に近い花蓮県山間部にある景勝地、太魯閣(タロコ)渓谷の崩落現場から4月6日、新たに女性1人の遺体が見つかった。女性は観光で訪れていた胡暁鈞さん(21)。地震発生の3分前まで交流サイト(SNS)を通じて家族らと連絡を取り合い、風光明媚(めいび)な場所を訪れた喜びを伝えていた。
「私は今、遊歩道を散策しています」。胡さんのSNSによると、胡さんが地震直前に家族に送った最初のメッセージは3日午前7時33分。場所は渓谷の入り口から約1キロ離れた遊歩道。急流が大理石を浸食してできた渓谷が見渡せる絶景スポットだった。
その後も家族らと数回のやりとりし、崩落現場近くを訪れたのは同7時50分ごろ。切り立った断崖下の風景写真も添えられており、家族からの「観光客があまりいなさそうだね」というメッセージに返信する形で同55分、「そうだね、観光客はあまりいないかも」と送ったのが最後になった。
地震はこの3分後に発生し、胡さんは落石に巻き込まれたとみられる。安否を気遣った家族や友人らが「すごい地震だったけど大丈夫?」などとメッセージを送り続けたが、胡さんからの返信はなかった。
台湾の消防当局によると6日午後、崩落現場で胡さんの遺体が見つかり、花蓮市内の施設に遺体を搬送した。近くにいた5人の家族連れも巻き込まれ、同日までに胡さんとは別の女性1人、男性1人の遺体を確認。残る不明の3人は見つかっていない。
現地メディアによると、胡さんは3日早朝、花蓮駅から路線バスで太魯閣まで訪れ、観光する予定だった。胡さんの父親は地震後、娘から返事がないことを心配し、知人を介して当日の服装と同じ胡さんの写真とともにSNSで情報提供を呼び掛けていたという。
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