新しく契約したばかりのスマートフォンに、怪しい電話がかかってくるという経験をした人という人が増えているようだ。その理由は電話番号が逼迫(ひっぱく)しているため、以前他の人が使っていた番号が再割り当てされているため。古くからある事象ではあるのだが、現在そうした事象に出くわす人が増えているのはなぜだろうか。
ここ最近SNSで、新たに契約した携帯電話の番号に、突然不審な電話やSMSが届く……という経験をしたという投稿が話題となり、同じような経験をした人が同情を示すなどして話題となったようだ。
その内容を見るに、単に見知らぬ他人や知らない会社から電話がかかってくる、というケースだけではないようだ。中には金融事業者や法律事務所からの債務回収、警察からの事情聴取などの電話がかかってくるケースもあるようで、どう喝じみた電話を受け怖い思いをした、という人もいる様子だ。
新規で携帯電話回線を契約したのに、なぜ知らない人からそのような電話がかかってくるのか? と疑問を抱く人は少なくないと思うが、実はこうした問題は比較的古くから存在するものでもある。その要因となっているのが、携帯電話の番号の数に限りがあることだ。
現在携帯電話や、既にサービスを終了したPHS向けとして割り当てられている電話番号は、「070」「080」「090」から始まる11桁の番号だ。このうち4桁目が0の番号は割り当てられていないことから、単純計算すると9000万×3=2億7000万の電話番号が、携帯電話やPHS向けとして割り当てられていることになる。
しかしながら携帯電話は非常に多くの人が利用していることから、番号は常に不足傾向にある。実際総務省の資料をたどると、2016年3月時点で2億3260万番号が携帯各社に指定済みとされていたようで、10年近く前には既に、相当数の電話番号が不足している状況だったことが分かる。
ただ総務省の「電気通信番号に関する使用状況の公表(令和4年度)」によると、2022年度末時点で携帯電話・PHS用の090/080/070番号の使用数は約1億8414万とされている。2億以上の電話番号が全て使われている訳ではなく、携帯電話会社が在庫として保有している番号も多く存在するものと考えられる。
だがここで考慮しなければいけないのが、それら電話番号が全く使われていないものなのか? ということ。日本で携帯電話番号のサービスが開始したのが今からおよそ37年前となる1987年であるし、2006年までは電話番号を変えずに他の携帯電話会社に乗り換えられる「番号ポータビリティ」の制度がなく、携帯電話会社を変えるには電話番号ごと変える必要があった。それゆえ解約済みの回線を含んだ累計で言えば、既に2億7000万をはるかに超える電話番号が使われてきたと考えるのが妥当だろう。
その一方で、携帯各社に割り当てられている電話番号の在庫には限りがあることから、新規契約者に対して常に新しい番号を割り当て続けることはできない。それゆえ解約した人の電話番号を、一定期間が経過した後に新規契約者に割り当てるということが古くから実施されてきたのである。
とはいえ、長い間連絡を取っていなかった友達や知り合いなどが、昔の番号に電話をかけるというケースは時々あるだろう。また債権回収などであれば、債権者の新たな電話番号が分かるまで同じ電話番号に問い合わせをし続けると考えられる。それゆえ新しい電話番号を契約したら、全く知らない人や会社から電話が来て困る、という事象は比較的古くからあったものなのだ。
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