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ニトリはなぜ“内製化の鬼”になったのか 現場の経験を生かすIT戦略のこだわり

» 2024年07月10日 11時00分 公開
[西本愛子ITmedia]

 商況や社会情勢の変化に即応して、業務の現場からニーズを即座に吸い上げ、必要なITシステムを素早く構築。サービスやビジネスモデル、業務プロセス、企業文化まで変革していく――こうしたDXの理想形を実現する上で、スピードと柔軟性は欠かせない要素だ。だからこそ、ITの内製化に注目が集まっている。

 しかし大抵の企業は、内製化の取り組みに苦戦している。内製化にはITスキルだけではなく、業務と現場ニーズの深い理解が欠かせない。両方を併せ持つ人材を十分に確保するには、人事や経営の視点も含めた中長期的なIT戦略が必要になる。

 家具大手ニトリホールディングス(以下、ニトリ)の内製化体制とIT戦略は、お手本といえるような完成度だ。同社は商品企画から原材料調達、製造、物流、販売まで一気通貫のビジネスモデルを作るだけでなく、それに関わるITシステムの内製にこだわっている。アイティメディア主催のオンラインイベント「デジタル戦略EXPO」(2024年7月9〜28日)に登壇したニトリの事例は、ITシステムの内製化を考える際のヒントが詰まっている。

荒井氏 荒井俊典氏(ニトリホールディングス執行役員兼情報システム改革室室長、ニトリデジタルベース取締役)

 荒井俊典氏(ニトリホールディングス執行役員兼情報システム改革室室長、ニトリデジタルベース取締役)は、ニトリが徹底的な自前主義を選び、IT内製化にもこだわる理由を「お客さまにより良い商品をより安く提供するために、あらゆることを最適化した結果」だと語る。

 業務とシステムは表裏一体であり、会社のビジョンと現場の課題解決を成し遂げるシステムを追求することが、ニトリグループのビジネスの進化につながる――という考えの下、ニトリは1996年から内製化をスタートした。はじめは在庫管理システムの内製化に取り組み、1999年にはサーバを導入して基幹システムをフルスクラッチで構築、2002年には注文伝票システムの導入……と、企業の成長を支えるITシステムを作り上げ、発展させ続けた。2022年には公式モバイルアプリ「ニトリアプリ」を自社で再構築し、2023年には倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)を刷新。現在も数々の内製開発プロジェクトが進んでいる。ステップ数(ソフトウェア開発におけるプログラムの規模を表す指標)は約1600万ステップに及ぶ。これは大手コンビニチェーンの約3倍の規模だ。

 ニトリはなぜこれほどの規模でITシステムの内製を続けられているのか。荒井氏は講演の中で、ニトリが全社を挙げて取り組むIT活用とそれを支えるIT組織について触れながら、内製化のポイントを詳しく解説した。さまざまなヒントが詰まった講演をチェックしてほしい。デジタル戦略EXPOは、2024年7月28日まで無料で視聴できる。

ニトリのDXと内製化のヒントを探ってみよう

デジタル経営戦略やAI活用、業務効率化など、10カテゴリーをラインアップした「ITmedia デジタル戦略EXPO 2024 夏」。ビジネスパーソンが“今”知りたいデジタル戦略の最前線を探求します。ニトリの内製化事例を詳しく紹介する講演は、こちらから無料でご視聴いただけます。

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