YouTubeをはじめとする動画、ショート動画などがすっかり氾濫している今日この頃ですが、動画において実は音声こそ大事というのは、動画を作ったことがある人には常識ともいえることです。
ただ、高音質だけを目指しても、意外と差別化できないのもまた現実です。そんな背景があるので、動画なのに音声に特化したASMR系動画が流行ったのは、なるほどと思うところです。
ASMR系動画でも使われることが多いのが、わりと大昔から使われてきた録音手法であるバイノーラル録音です。バイノーラル録音を簡単に説明すると、人の耳の位置で録音すること。特にヘッドフォンで視聴すると、微細な音や立体的な音が再現されます。
ということは、バイノーラル録音を厳密にやろうとすれば、人の頭と同じサイズのダミーヘッドが必要です。バイノーラル録音用マイクとなると、非常に高価なものが多く、スマートフォンで使うとなると、さらに大変でした。
イヤフォンの形をしたマイクで、実際に人が耳につけることでバイノーラル録音できるものもあるのですが、そうすると当たり前ですが、自分か他人の頭を録音したいものに近づけたりしないといけないわけです。これはこれで、また別の面倒さがあります。
つまり、昔からその効果は高いことは知られているものの、実際にやろうとするとそれほど簡単ではない録音手法がバイノーラル録音なのです。
前置きが長くなりましたが、そんな簡単とはいえないバイノーラル録音を、スマホでもできるようにして、価格もぐっと下げてきたのが、今回試すことができたWHISMR(ウイスマー)の「W-BM1」です。
ウイスマーは、ケンウッド(現在のJVCケンウッド)やソニーでサラウンドヘッドフォンなどの開発に携わってきた技術者・山田裕司さんが設立した日本の立体音響機器ブランド。現在、クラウドファンディングサイトの「GREEN FUNDING」でプロジェクトを公開しています。
スマホだけで使えるということは、音をアナログからデジタルに変換する処理も内部で実行しているということ。録音アプリ次第ですが、96kHz/24bitまで対応できます。
一見、マイクとは思えないような見た目ですが、バイノーラル録音ということで考えれば、実に理にかなった形です。要するに人の頭の幅と同じぐらいの横幅で、その側面にはきっちり耳の形をしたマイクが付いているのです。
本体の裏にあるのは、左から外部マイク端子、ヘッドフォン端子、バイノーラルフィルタ(のオンとオフ)です。耳慣れないのがバイノーラルフィルタですが、これはライブ配信などでスピーカー再生を想定する場合に「配信モード」を選びます。
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