スマートフォンのようにソフトウエアの更新で性能を高められる次世代車「SDV」(ソフトウェア・デファインド・ビークル)の開発が本格化する。経済産業省と国土交通省は10月17日、ソフトウェア人材の確保や異業種間の連携を目指す場として「モビリティDXプラットフォーム」を立ち上げた。オールジャパンでSDVの開発体制を整備し、車のデジタル化で先行する米国や中国を追い上げる。
「モビリティ(移動)分野に高度なソフトウェア開発力を有する海外の新興メーカーが参入し、最先端の事業に取り組んでいることに強い危機感を覚える」
上月良祐経産副大臣は17日、千葉市内で開かれたプラットフォーム立ち上げイベントに寄せたメッセージで危機感をあらわにした。
日本の自動車メーカーは電気自動車(EV)や自動運転技術で世界で出遅れていると指摘される。SDVでも、米Teslaや中国の新興電気自動車(EV)メーカーが早くも車づくりの基本として急成長している。
自動車産業は日本経済の屋台骨だ。政府はSDVで巻き返したい考えで、2030年に最大4100万台と見込まれる世界市場で、日本として3割に当たる1200万台を目指す方針をぶち上げた。プラットフォームは「目標に向けた第一歩」(経産省関係者)だ。
プラットフォームで急ぐのはソフトウェア人材の確保・育成だ。政府は今年度にSDV分野の人材育成の指針を策定し、育成講座も提供する方針。大学など教育機関とも協力を進める。
同時にSDVの開発加速化のため、ソフトウェアやシステムをつなぐ基盤部分の仕様共通化を実証実験などで後押しする。すでにトヨタ自動車とホンダ、日産自動車の3社は共通化に向けた検討に着手している。
こうした取り組みには、異業種間の連携が欠かせない。プラットフォームは自動車メーカーのほかIT企業やスタートアップ(新興企業)、金融機関などの交流を想定しており、上月氏は「新たなシナジー(相乗効果)が競争力を高める」と話す。日本勢の生き残りに期待がかかる。(中村智隆)
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