シャープは6月27日、堺市内で定時株主総会を開いた。2025年3月期の連結決算は3年ぶりに黒字となったものの、26年3月期の純利益は前期比72.3%減の100億円を見込み、業績回復は遠い。堺市の大型液晶パネル工場をはじめ事業売却も進んでおり、株主からは「成長の具体的な戦略が見えない」「シャープの技術がなくなっていっているのでは」と厳しい声が相次いだ。
沖津雅浩社長は冒頭で「近年、シャープらしさが徐々に失われつつある」と述べ、家電部門を中心に生成AIを活用して再成長を目指す方針を強調した。
シャープOBという男性株主は「経営計画が抽象的だ。シャープの商品に魅力がないから株価が上がらない」と低迷が続く状況を指摘。沖津氏は家電の戦略について「日本国内は市場成長が見込めないのでアジアを中心に海外事業を拡大する」と説明。テレビ事業についても「生産はやめない。日本の中で1番を築いていく」と述べた。
また「(親会社の)鴻海(ホンハイ)が将来的にシャープとの関係を切ってしまうのではないか」との不安の声に沖津氏は「その心配はないと認識している」と話した。
今月5日に任天堂から発売された家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」について、「(液晶パネル生産を)受注しているか明らかにしてほしい」との質問もあったが、沖津氏は「個々の会社との契約があり、回答は差し控えたい」と述べるにとどめた。(桑島浩任)
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