Webインフラとセキュリティの統合プラットフォームを提供する米Cloudflareは7月1日(現地時間)、この日を「Content Independence Day」(コンテンツ独立記念日)と銘打ち、AI時代におけるコンテンツクリエイターの権利保護と収益化を支援するための取り組みを発表した。
同社は、過去30年にわたってWebを定義してきた「コンテンツと引き換えにトラフィックを送る」という米Googleとコンテンツクリエイターとの取引モデルが、AIの台頭によって機能しなくなった現状への対応としている。
Cloudflareによると、Googleの「AIによる概要」などの影響で、コンテンツクリエイターへのトラフィックが激減し、米OpenAIのサービスでは以前のGoogleと比較して750倍、米Anthropicでは3万倍もトラフィック獲得が困難になっているという。
取り組みの一環として、以下の構想が発表された。
AIクローラーがコンテンツ作成者に報酬を支払わない限り、デフォルトでブロックする方針に転換する。将来的には、トラフィックではなく、高品質なオリジナルコンテンツに直接対価を支払う新たなマーケットプレイスの構築を目指すという。
Webサイトのrobots.txtファイルをCloudflareが自動で更新し、Webサイトの所有者が、AIボットによるコンテンツ利用を簡単に制御できるようサポートする。
また、広告が表示されているホスト名のみでAIボットをブロックする新しいオプションを提供する。
これらは、無料プランを含むすべてのCloudflare顧客に利用可能にする。
コンテンツ作成者がAIクローラーにコンテンツへのアクセスに対して料金を請求できるようにする“第3の道”として、「pay per crawl」を導入する。
これは、HTTPステータスコード「402 Payment Required」を活用するシステムで、ドメイン所有者は、サイト全体で一律のリクエスト当たりの価格を定義し、「許可」「課金」「ブロック」の3つのオプションを選択できるというものだ。
Cloudflareが仲介者として機能し、課金イベントを記録し、クローラーに料金を請求し、収益をパブリッシャーに分配する。
この機能は現在プライベートβ版で一部の顧客に提供している。
pay per crawlの信頼性を高め、ボット管理の精度を高めるために、「HTTP Message Signatures」を追加する。これは、ボット、エージェント、クローラーが暗号的に自身を識別するための方法という。
Cloudflareがエッジで自動的に署名を検証し、トラフィックを「Verified Bot」として識別することで、信頼できるボットトラフィックの識別精度を向上させる。
Cloudflareは、「pay per crawlの真の可能性は、エージェント時代に顕在化する可能性がある。エージェントによるペイウォールが完全にプログラムで動作したらどうなるだろう? お気に入りのdeep researchプログラムに、最新のがん研究情報や法律文書の作成を手伝ってもらったり(中略)し、エージェントに予算を与えて高品質なコンテンツを入手できる未来を創造してみてほしい」とし、この機能でAIエージェントがコンテンツへのアクセスを交渉する未来を実現できると語った。
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