ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >

広告か有料購読か、答えのないニュースの在り方 ペイウォールの課題は“マンガ配信”に解決のヒント?小寺信良のIT大作戦(1/2 ページ)

» 2025年07月04日 17時30分 公開
[小寺信良ITmedia]

 普段われわれがさまざまなメディアを通して目にするニュースは、無料で無尽蔵に情報が提供されているように見える。しかし実際には、そのニュースを提供するためのコストがかかっており、どこかで回収が図られている。

 公益財団法人 新聞通信調査会が公開した第17回 メディアに関する全国世論調査(2024年)という資料をひもといてみると、ニュースへ接触するメディアは、50代まではインターネットが最多であり、60代以上になるとテレビメディアが逆転する。

ニュースに接触するメディア(公益財団法人 新聞通信調査会:メディアに関する全国世論調査2024年より抜粋)

 とはいえ平均でならすと、最多メディアは民放テレビニュースとなる。これは無償で提供されているように錯覚しがちだが、実際にはスポンサーが付く広告モデルである。

 インターネットのニュースも、サイトによっては広告モデルの場合もあるし、ペイウォールモデルの場合もある。傾向としては、新聞社系はペイウォールモデル、雑誌・週刊誌派生系は広告モデルが多いようだ。

 ペイウォールモデルの利用率は、かなり低い。有料のニュースサービスを利用している人は全体の5.8%にすぎず、大半は無料の(実際には広告モデルの)ニュースしか読んでいない。

インターネットニュースの有料サービスの利用(公益財団法人 新聞通信調査会:メディアに関する全国世論調査2024年より抜粋)

 情報アクセスという点では、Googleなどパーソナライズされた検索エンジンを使用することで、自分の好む情報にしかアクセスしない「フィルターバブル」といった現象は、古くから指摘されているところである。

 またSNSなどで作られたグループ内で共有される情報は、自分たちにとって心地よい情報に偏っていくという「エコーチェンバー」現象も指摘されているところである。

 インターネットニュースを見る時に使用するサイトとしては、30代以上は圧倒的にポータルサイト経由であり、フィルターバブルの影響を受けている。また20代以下ではSNSが最多となっており、エコーチェンバーの影響を受けていると考えられる。

インターネットニュースを見る時、アクセスするサイト(公益財団法人 新聞通信調査会:メディアに関する全国世論調査2024年より抜粋)

 それに加えて、広告モデルとペイウォールのニュースに二分されるという現象もまた、発生しているといえるのではないだろうか。これはおもに、経済感覚の問題だろう。つまり対価を払ってもそのニュースを見たいと思う人と、広告モデルのニュースしか見ない人との間で、知識的な分断が起こっている可能性がある。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

あなたにおすすめの記事PR