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シャープがフェムテック参入 手をかざすとナプキン1枚 無料配布の後押しに

» 2025年07月10日 15時09分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 急に生理になり、対処に苦悩する女性の困りごとを解決しようと、シャープは公共トイレに設置するナプキン用ディスペンサーの新製品を発表した。同社が、テクノロジーを用いて女性特有の健康課題を解決する「フェムテック」の分野に参入するのは初めて。企業や自治体の公共施設、教育機関への普及を目指し、ナプキンを無料配布する取り組みを後押しする。

photo トイレ内に置いて、必要な人にナプキンを無料で配れるシャープのディスペンサー「todokuto(トドクト)」

きっかけは自治体の相談

 シャープが法人向けに7月25日から発売を予定するのは、ナプキン用のディスペンサー「todokuto」(トドクト)。ナプキンを清潔に管理できる箱型の機器で、トイレ利用者が箱の前面に手をかざすと、取り出し口のシャッターが自動で開き、ナプキン1枚を手にできる。利用者が一度にナプキンを大量に持ち去ることを防ぐため、一定時間取り出しを制限する機能もある。

 近年、生理にまつわる女性の困りごとを解決しようと、自治体や企業、学校などで生理用品を無料配布する動きが広がっている。ただ自治体窓口や学校の保健室で対面で配布する場合、直接取りに行くことに利用者が抵抗を感じる課題があった。

 同社は、浜松市から生理用品の配布に関する相談を受け、ディスペンサーの開発に着手。同市に加え、スズキやパシフィコ横浜などで実証実験を重ね、利用者やトイレ管理者の意見を製品に反映した。

 開発担当者は「例えば、立ち仕事の多い職場では吸収量の多い分厚いタイプ、学校では運動系の部活動でも安心して利用できるズレにくいタイプなど、設置場所によって利用者が求めるナプキンが異なるため、どんな種類のナプキンにも対応できるように箱の構造を工夫した」と、強みを説明した。

 トイレ管理者が運用しやすいようにIoT技術を使い、ナプキン残量が少なくなると管理者にメール通知が届いたり、毎月の利用枚数を知らせたりする機能も加えた。

災害備蓄のナプキン活用にニーズ

 公共トイレでナプキンを無料提供する取り組みには、トイレの個室に設置された機器に動画広告を流し、企業の広告協賛費用をナプキン購入費用に充てるビジネスを活用したサービスがある。

 今回発表されたシャープのディスペンサーは、動画広告が流れる液晶モニターがない形状。ナプキン購入費はトイレ管理者が負担することを想定している。

 同社によると、自治体では、災害備蓄しているナプキンの中から使用期限が迫ったものを、必要な人に無料配布してローリングストックするニーズもあるという。

 初年度は1000台を生産。2年後に企業や自治体、学校など1000団体への導入を目指している。

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