楽天グループの動画配信サービス「Rakuten TV」が12月1日に発表したサービスの変更内容が物議を醸しています。「購入コンテンツ」の販売を12月25日に終了し、これまでに購入された動画も2026年の12月までしか視聴できないようになる、というのです。当然このサービス内容の変更に対してネット上では不満の声が上がっています。
購入したと思っていた商品が、楽天側の事情で視聴できなくなるのですから文句が出るのは仕方ありません。また、BL、ブロマンス、LGBTQ+といった一部ジャンルのコンテンツのみ、将来的にも視聴可能にするという点も不公平な印象を与えてしまったのかもしれません。
ただ、今回の件に対するネットの反応を見ていて個人的に一番気になったのは、他のサービス──例えば電子書籍などにおいても同様のことが起こるのではないか? という不安の声でした。Rakuten TVのサービス変更が、配信サービスにおけるデジタルコンテンツの「購入」に対する潜在的なリスクを露わにしてしまったのです。
そもそもストリーミングサービスを「購入」するということは、あくまでそのアクセス権を入手することなので、当然アクセスできなくなる可能性は考慮する必要があります。実際これまでもサービス終了に伴い購入したコンテンツが視聴不可になったケースはいくつもありました。ただ、過去の事例においては、購入者に対して相応の補償をするケースが多かったと思います。
例えば、2022年に動画配信サービス「TSUTAYA TV」が終了した時には、一部を除くセルスルー商品(買い切り)の購入者に現金やTポイントで相応額を返還しました。こういった対応もあり、これまでは何となくそのリスクが許容、あるいは見過ごされてきたのではないかとボクは思います。
今回の購入コンテンツの終了に際し、RakutenTVからこれまで購入した利用者に対する補償等はありませんし、詳しい説明もしていません。こういった不誠実にも見える対応が、利用者の反感を買っている面もあると思います。ネット上では、そもそもストリーミングサービスのアクセス権を入手することに「購入」や「セルスルー」といった表現を用いることを見直すべき、という声も上がっています。
確かにRakuten TVは、購入コンテンツの説明に「作品の配信・視聴を停止」する可能性を明記していました。こうした文言は多くのサービスにありますが、ボクはサービス終了とか、会社がつぶれるとか、より切実な事情の時に行使するための“保険のようなもの”と捉えていました。それがサービス変更のために、詳しい説明もなく実行されるとなると……Rakuten TVのみならず、配信サービス全体への信頼が揺らぎかねません。楽天グループには、今からでも誠実な対応を期待したいところです。
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