IT技術を活用した市民参加型の政策づくりを推進する団体「デジタル民主主義 2030」(鈴木健代表)は3月19日、オンライン上の詐欺広告を通報するサイト「ストップ詐欺広告」を公開した。ネット上にあふれる詐欺広告が、どのプラットフォームにどれだけ出稿されているかを「見える化」し、被害防止のための法整備、その適切な運用につなげることを目指す。4月以降には、関連の市民参加型のワークショップや議論の場を設け、法整備に向けた社会の機運も高めていくとしている。
警視庁の統計によると、2025年のSNS型投資詐欺の被害総額(暫定値)は前年から404億円増え、1274億円に上った。認知件数は9538件で、このうち約4割にあたる3760件はオンライン広告経由だ。投資関連サイトをはじめ、人気SNSのYouTube、Instagram、TikTokに掲載された広告が詐欺の入り口となっている。
ただ、ネットの詐欺広告によって多額の被害が出ているにもかかわらず、広告を掲載しているSNSなどを運営するプラットフォーム事業者には、広告の透明性を巡る法的な義務がない。
今回公開された通報サイト「ストップ詐欺広告」では、ユーザーが自身の手で、広告が表示されたSNS、誘導先ページへのリンク、証拠の画像を投稿し、広く共有することができる。
ニュースアプリ「スマートニュース」の共同創業者としても知られる鈴木代表は、「縦割りの弊害で、行政による対応が進まない中、市民の側からアクションを起こすことで解決につなげることを目指している。実際にどのような詐欺広告が世の中で蔓延しているのかを可視化し、対策のための重要なデータとして分析できるようにしていく」と述べた。法整備などの対策を進めるための根拠となる詐欺広告のデータの収集、蓄積が目的だという。
「ストップ詐欺広告」は、台湾の「Fraud Buster」(フロードバスター)という同様のサイトを参考に開発された。同時に、台湾での失敗事例も生かしたという。
台湾では、当初、法規制によって問題解決を目指したが、一部事業者が「技術的困難」などを理由に十分な対策を講じず、実効性のある対策にならなかった。
その失敗を踏まえ、台湾ではランダムに20万通のショートメッセージ(SMS)を送って協力を募り、市民参加型の熟議に基づいて、法改正を行った。台湾全体を巻き込んだ議論と、フロードバスターというIT技術による解決策を組み合わせたことが、実効性のある対策につながったという。
デジタル民主主義 2030では、通報サイトの運営に加えて、社会から広く意見を募るブロードリスニング、市民参加型のワークショップや熟議を段階的に行い、問題解決に向けた社会的な機運を醸成していくという。
鈴木代表は、「市民の力を集め、自分たちが手を挙げれば社会が変わっていくという成功事例を作る最初の一歩にできれば」と話した。団体では、こうした活動費をまかなうためのクラウドファンディングも開始した。(西山諒)
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