環境活動家として知られるエリン・ブロコビッチ氏が、米国各地で急増するAIデータセンター建設をめぐり、地域住民への情報開示が不十分だとして声を上げている。5月27日付のニュースレター「The Brockovich Report」に「データセンターがこれほど素晴らしいなら、なぜ秘密裏に建設されているのか」と題した記事を掲載し、米国民が抱える懸念を訴えた。
ブロコビッチ氏は、1990年代にカリフォルニア州の工業廃水汚染問題を告発し、環境訴訟で大企業に勝訴した実績を持つ。その半生は2000年公開のジュリア・ロバーツ主演映画「エリン・ブロコビッチ」として映画化されており、日本でも知られている。現在も環境・公衆衛生分野の活動家として精力的に発言を続けている。
同氏によると、4月27日に「AIデータセンターに懸念がある方は知らせてほしい」と呼びかけたところ、1カ月で3862件の報告が集まった。寄せられた声に最も多く登場した言葉は「透明性」であり、住民たちは「黙らされた」「無視された」「秘密主義」といった表現を用いているという。許可取得後に初めて計画が公表されたり、地元当局者が秘密保持契約(NDA)を結んでいたりするケースも報告されており、住民が計画を知ったのは「工事のトラックが来てからだった」という事例も含まれている。
ルイジアナ州では、米Metaが410万平方フィート(約38万平方メートル)のAIキャンパス「Hyperion」を建設中で、完成時にはニューオーリンズ市全体と同等の電力を消費する見込みだ。アーカンソー州では米Googleが州史上最大規模の民間投資となるデータセンターを建設。テネシー州ではイーロン・マスク氏のxAIがスーパーコンピュータ「Colossus」を稼働させた。米国のデータセンターが消費する電力は2023年時点で全米の4%超に上り、2030年には9%に達する可能性があるとMITエネルギーイニシアティブは試算している。
こうした問題意識から、ブロコビッチ氏は住民が懸念を報告・閲覧できるWebサイトbrockovichdatacenter.comも公開した。サイトには現時点で3034件の住民報告が登録されており、49州をカバーしている。エネルギー消費、水使用量、騒音、電子廃棄物などの問題ごとに情報を整理しており、住民が自分の地域の状況を写真や動画とともに報告できる機能も順次追加される予定だ。
ブロコビッチ氏はデータセンター自体を全面否定しているわけではなく、「住民への事前通知、公開ヒアリング、インフラへの影響に関する完全な情報開示、地域住民を交渉のテーブルに着かせること」を求めている。住民の反対運動の結果データセンターの建設を禁止した自治体(ニュージャージー州モンロータウンシップ)もあるとして、「コミュニティが情報を得て組織化し、声を上げれば状況は変えられる」と訴えている。
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