「GitHub Copilot」や「Claude」といったAIサービスの実質値上げが相次いでいる。サブスクリプション料金に隠れていた生成AIの本当のコストが、企業側の請求書にようやく姿を現し始めた。
月額固定の料金は、使い込めばいずれ跳ね上がる時限爆弾のようなものだった。いま複数の企業が、トークン費用を人件費と同じ土俵で測り始めている。これは技術の話ではなく、経営資源を人とAIにどう配分するのか、誰がどんな基準で判断するのかという問いだ。
この問題意識は限られた企業だけのものではない。バックオフィス向けSaaSのLayerXや経費精算SaaSのラクス、名刺管理から事業を広げたSansan、会計クラウドのfreee、フリマアプリのメルカリ。取材した5社のAI・人事責任者から、驚くほど重なるトーンでトークンコストを語る声が聞こえてきた。
きっかけは値上げだった。コーディング支援のGitHub Copilotが料金体系を見直し、米AnthropicのClaudeも上位モデルや新機能でトークン消費が膨らみやすくなった。企業がAIエージェントを業務に本格的に組み込み始めると、請求額は一気に跳ね上がる。サブスクの間は見えにくかったコストが、従量課金に近づくにつれて明確になってきた。
LayerXの福島良典CEOは6月、自社noteで「トークンマキシングからトークンマネジメントへ」と書いた。とにかく使い倒す段階から、使ったトークンが事業の価値にちゃんと転換できているかを問う段階へ──AIを浴びるように使うのが競争の前提になったその先で、次に問われるのはROIだという指摘だ。
その規模感も無視できない。SansanのCHRO(最高人事責任者)兼CAXO(最高AI変革責任者)の大間祐太氏は「AI費用は前年比で数倍以上に伸びることを想定している」という。チャットで調べ物をさせる程度なら人件費ほどのコストにはならない。
だが、AIエージェントを日常的に走らせれば話は別だ。コストは一気に「人ひとり分」の領域に入ってくる。トークンを「使えるだけ使う」前提が、各社で同時に揺らぎ始めた。
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