通信講座にもBYOD? ベネッセ、iPad活用の「進研ゼミプラス」来年スタート
ベネッセコーポレーションが通信講座「進研ゼミプラス」を来年4月に提供開始。紙教材に加え、自分のiPadを使う「ハイブリッドスタイル」を新設する。
通信教育は自宅学習が中心で、途中でやる気を失いがち――そんな課題を解決するべく通信教育にも「BYOD」(Bring your own device)が導入されるようだ。ベネッセコーポレーションは10月27日、通信講座の新サービス「進研ゼミプラス」を来年4月にスタートする。紙教材中心の講座だけでなく、手持ちのiPadで学べる「ハイブリッドスタイル」を新設し、講座の指導者と生徒間で双方向にやり取りが出来る環境を目指す。
「ハイブリッドスタイル」は、手持ちのiPadで問題に回答できる「BYOD形式」の新コース。理解度に応じて、問題や解説を出し分ける「アダプティブラーニング」を導入し、1人1人に沿った個別指導を目指す。苦手な問題に出合うと、学年をさかのぼって基礎の内容から復習したり、得意な分野は応用問題を出題する――など、成績を向上させる仕組みも用意するほか、作図やグラフの問題では紙ベースの教材とも連携するという。
商品開発部の永見良介課長によれば、過去50万題のデータベース「学習ルートマップ」に基づき教材を作成したと言い、「大規模な会員数を持ち、データを蓄積してきた45年分の知見があるからこそ実現できる」と胸を張る。
答案の添削指導を行う「赤ペン先生」に加え、「赤ペンコーチ」が1人1人に付き、デジタル上の学習履歴から得意・苦手分野を把握。定期試験前には具体的な学習計画を提示し、試験後の復習もサポートする。学習が滞っている場合はアラームを出すほか、保護者のスマートフォンに通達するという。
BYOD形式の普及に合わせて、電話やチャットによる「勉強なんでも相談室」、教室で学べる「クラスベネッセ」や提携塾など、対面形式の指導も一層拡大。「赤ペンコーチ」とともに、生徒が相談できる環境作りを進める。発表会に登場した歌手のmiwaさんは「幼いころ、赤ペン先生の温かいアドバイスが勉強のやる気につながった」と話した。
同社は、これまでにも専用タブレット「チャレンジタッチ」など独自の教材開発に取り組んできた。小中高教育サービス開発本部の村上久乃本部長は、BYOD形式に切りかえる理由を「iPadが普及する中で、趣味や勉強など用途ごとにデバイスを使い分けるのは苦痛」と説明する。「自学自習で挫折してしまった時に、助けに入りやすい仕組みを作れば、より役立つ通信教育になるのでは」(村上本部長)
関連記事
- スマホで個別指導「リアルタイム家庭教師」ベネッセが開始
高校生、大学受験生にスマートフォンで個別指導する新サービス「リアルタイム家庭教師」をベネッセが4月に開始する。 - DeNA、小学生向け通信教育アプリ「アプリゼミ」スタート ゲーム感覚で楽しく学習 月額980円
DeNAがスマートフォンやタブレットで学習できる児童向け通信教育アプリ「アプリゼミ」の配信を始めた。まず新小学1年生向けに3教科を月額980円で配信する。 - DeNAが教育分野に参入 児童向け月額課金学習アプリ「アプリゼミ」、まずは新小1から
DeNAが児童向け学習アプリ「アプリゼミ」をリリースした。4月から新小学1年生を対象に月額課金形式で配信する。対象学年は今後拡大予定。 - 「お金がかかるのは変」 無料の受験動画サイト「manavee」作った東大生 プログラミング未経験から5万人が使うサイトに
高額な受験予備校に疑問を持ち、完全無料の受験動画サイトを作った東大生がいる。利用者は月5万人。運営費用はほとんど自腹。「教育の地域格差、経済格差を解消したい」という。 - カドカワ、ネットの高校「N高等学校」来春開校へ プログラミング、アニメの課外授業も
カドカワは、ネットで受講できる通信制高校「N高等学校」を来年4月に開校する。プログラミングや文芸小説などプロによる課外授業も予定し、進学や就職につなげる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.