日経「AI記者」の衝撃 開発の背景に「危機感」(1/4 ページ)
あの日経が、人工知能(AI)に記事を書かせ始めた――日本経済新聞社が1月に始めたサービス「決算サマリー」は、ネットユーザーを驚かせた。
AIを使い、決算短信を要約してテキスト化。売上高や利益、その背景などをわずか数分で記事の体裁にまとめ、日経電子版などに配信する。人間の手は一切入らない「全自動」だ。
AIが書いた記事を読み、記者は驚きとともに恐怖を覚えた。人間の記者が書く決算記事の最低限のラインはクリアしていると感じ、記者としての自分自身の仕事の先行きが不安になったのだ。
なぜAIに決算記事を書かせようと考えたのか。人間の記者はこれからどうなってしまうのか。インタビューした。
きっかけは「開発現場のSlack」
開発のきっかけは、2年ほど前のこんなニュースだった。「AP通信や米Yahoo!が、AIで記事を自動製作し、配信している」。
「日経電子版」を開発・運営する同社デジタル編成局編成部の「Slack」(社内チャット)でも当時、この話題で盛り上がった。APやYahoo!が採用しているアルゴリズムは英語用だが、「日本語でもできないか」と研究が始まった――編成部の吉村大希さんは振り返る。
AI研究で知られる東京大学の松尾豊特任准教授の研究室にコンタクトを取り、メディアにAIを適用する可能性を議論。最初の応用例として、AIに決算記事を執筆させることを考えたという。決算記事は、元となる情報が決算短信など一定のフォーマットでネットに開示されており、記事に盛り込む内容や形式もおおよそ決まっているため、AIにも書きやすそうな分野だからだ。
アルゴリズムの設計には、決算記事の執筆などを担当する編集局証券部で記者経験のあるスタッフが協力。「売上高や利益の前年同期比に着目し、増減の要因を示す文章を見つける」など、決算短信のどこに注目し、どのように記事にしていくかを整理した。その上で、企業の決算短信と、それを基に書かれた日経記事をAIに学習させ、記事に盛り込むべき内容を短信から抽出するアルゴリズムを設計した。
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