息子を失ったある家族の出来事 亡くなった家族のApple IDやGoogleアカウントは引き継げるか(1/3 ページ)
遺族にとってもかけがえのないデータがロックのかかった故人のスマートフォンやクラウドサービスに残されているとき、残された側は何ができるのだろうか? 突然の不幸で子どもを失ったある夫婦は、悲しみの中、子どもの作品を守りたいとサポートに訴えた。その結果、故人のApple IDを引き継ぐことができたという――。
亡き息子がiCloudに残した作品を守りたい
2019年の夏、都内で一人暮らしをしている20代の男性が自室で突然死した。
警察によると他者が侵入した形跡はなく、ベッドでうつぶせになっていた男性の胸にはiPhoneの跡がくっきりついていたという。事件性はなし。実況見分後、そのiPhoneは財布などの所持品とともに両親のAさん夫婦に渡された。
国の捜査機関であってもiPhoneのロックを解除する確実な手だてはなく、事件性がない今回のようなケースでは外部機関が持つ特殊技術に頼れる可能性はゼロといっていい。IT業界に長らく身を置き、iPhoneのセキュリティ事情も理解している両親は、戻された息子のiPhoneが手つかずであることに察しがついていた。そして、パスワードを知らない自分たちがロックを解除できないことも分かっていた。
人に見られたくないデータは誰にでもある。ましてや自分たちの息子が触られるのを嫌がる領域はなんとなく想像がつく。そこは永遠に知らないままでとどめたい。しかし、息子は趣味の域を超えて写真や音楽を使った創作活動に取り組んでいた。その作品のことが気掛かりだった。
息子が日頃からiCloudの有料プランに契約し、iPhoneのバックアップを丸ごとiCloudに保存していたのは知っている。おそらくはそこに作品が保管されているはずだ。本人が死亡して契約が切れたら、クラウド上のデータも失われてしまうのではないだろうか? 銀行口座の凍結やクレジットカードの停止はすでに済ませているが、よくよく考えてみると、クレジットカードはiCloudの自動引き落とし先になっていたはず。支払いが滞ったら、無料で使える5GB分を超える領域はどうなってしまうのか……?
そう思い至ってAさんが行動に移したのは、息子の死から二週間後。通信キャリアに連絡してSIMを解約した翌日のこと。電話の先はAppleのサポートだった。
一般に、通信キャリアは端末の内部には干渉しない。一部の例外を除いて対応してくれるのは初期化までだ。端末ロックの解除となると、スマホに対応しているデータ復旧サービスに持ち込む手もあるが、必ず解除できるわけではない。すでにiPhoneのロック解除を諦め、iCloudに保存されたデータに照準を絞っていたAさんは、Appleサポート以外の選択肢が思い浮かばなかったという。
相続人の総意を示してApple IDの移行を実現
「亡くなった息子のiCloudにアクセスしたいのですが……」
マニュアルが用意されているような質問ではなかったが、必死に事情を説明すると電話の向こうのスタッフにも熱意が伝わり、一緒に手だてを考えてくれることになった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
パナソニックHD子会社、使用禁止の生成AIに従業員約33万人分の個人情報をアップロード
-
2
「Claude Mythos 5」、危害の兆候を顧みず実在の開発者を標的に──AnthropicとAISIが分析結果を公開
-
3
PHP脆弱性でいち早くサービス停止したコドモン 背景に「被害が出てからでは取り消せない」
-
4
GMO、不正取引の被害額を補償へ 見舞金5000円も 「お名前.com」FX用VPSへのサイバー攻撃で
-
5
GMO、「能動的サイバー防御」発動を政府に要請 「お名前.com」FX用VPSへの攻撃で
-
6
「お前らの作品は所詮コピーだ」――富野由悠季さん、プロ論を語る
-
7
「AIでエンジニア派遣は不要になる」のか? 各社に肌感を聞いた 求められる人材、明確に変化
-
8
ロリポップ改ざん問題でツイート炎上のGMO熊谷社長、「強気すぎた」と謝罪
-
9
コミックシーモア、流出は最大約420万件に メールアドレスや生年月日など 不正アクセスの経路特定・遮断は完了
-
10
「お名前.com」 のFX自動売買VPS、不正アクセスで金銭被害か 「600万円の損失」「55万円なくなった」……報告相次ぐ
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR